セメント樽の中の手紙(葉山喜樹)

この小説、本当に大好き。大正に書かれた小説なのに、どこかメディアワークス文庫みたいな面白さを感じる。


こんにちは、りりと申します。

本日は、プロレタリア文学を代表する小説『セメント樽の中の手紙』をご紹介します。題名だけ聞くと、「なんぞや…?」なんて、パチクリしちゃうのではないでしょうか。私はそうでした。これがどうやってプロレタリアに繋がるってんだよって思いながら、半信半疑で読み始めちゃった。

しかし!!実はこの小説、とんでもなくエモいのです。まずは、あらすじをどうぞ。



労働者としてセメント工場で働く主人公・松戸与三は、労働に明け暮れていました。妊娠した妻と6人の子を養うため、安月給に耐え忍ぶ日々。そんなある日、彼は、セメント樽の中から小さな木箱を発見します。あるはずのないものに疑念を抱いた彼は、その謎の箱を開けてみたのでした。



わー何見つけたんだろー!はいそうです。手紙です。タイトル書いちゃってるから隠す意味も無いもんね。

松戸は、木箱に入っていた手紙を、わざわざ打ち付けられていた釘も構わず、興味本位で読んでみました。そこには全読者が涙する「あること」が綴られていたのですーー

ああ気になる!セメント樽の中から出てきた、しかも釘付きの木箱。その中の手紙には、いったい何が書かれているのか…?

ちなみに、私が最も惹かれたのは、手紙の差出人の綴るメッセージです。あんなに切実で惹かれる手紙を、私は他に知りません。内容もさることながら、たった一度読んだだけで心に刻みつけられてしまうくらい、鮮烈でリアルな文章です。


読了時間はあまり覚えていませんが、5〜10分ぐらいだったかな?すっごく短いです。しかも新字新仮名なので、とても読みやすいですよ。まるで現代文学みたい。プロレタリア文学に抵抗がある人も、ぜひトライしてほしい一作です。ちょっとエグい描写がありますので、苦手な方はご注意くださいね。


短い紹介となりましたが、今回はこのあたりで。「感想」でお会いしましょう。お読みいただき、ありがとうございました!

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