感想・解釈【ネタバレあり】

小説

変な音(夏目漱石)感想

こんにちは。この記事を気にかけていただき、ありがとうございます。

今回は夏目漱石『変な音』についての感想をお話したいと思います。ネタバレが多大に含まれておりますので、まだ読んでいない方で読む予定がある方は一度この記事をそっ閉じしていただけるとありがたいです。

また、同シリーズの中に『変な音』の紹介も投稿しております。よければそちらもどうぞ。






それでは、感想と独りごとを話していきます。

最初に読んだ感想は「キュウリかい!!」の一言に尽きました。

実は私、最初ごりごりという音は、壁の向こう側で苦しむ患者さんが壁を必死に引っかいてる音なのかなぁ…なんて、なんとなく想像しちゃってたんです。いや、ちょっと怖すぎるか。

それ以外にも、色々な可能性を視野に入れて必死に考えていた私としては、野菜おろしてるのは正解なんかい!とツッコまざるを得ません。大根でもキュウリでもなんでもええやん。


でもそれを覆すぐらいに感動したのは、下になって初めて「あちら側の患者目線」でストーリーが明かされていくこと。そりゃ私たちがあっち側の音を気にしてるんだったら、あっち側も私たちの音が気になりますよね。それは眼中になかった。

さらに、あっち側の患者さんは既に亡くなっているのに対し、私たちはまだ生きている。その対比も、壁を隔てた二人の患者さんの関係性を鮮明に浮き上がらせているんじゃないかなぁと思います。

壁1枚隔てたところで、2人の患者さんは逆の人生を歩んでいる。その2人が互いを意識する媒介となったのが、互いの発する不可解な「音」だったわけだ。あっち側から聞こえてくるゴリゴリいう音はなんだろう。カツカツいう音はなんだろう。けれどお互いにその正体がわからないまま、別の道を歩んでしまう。いやーよく練られてるなあと思います。「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」ってやつですね。違うか。


おそらくこの作品は、「変な音の正体」を気にしているだけでは、大して面白くはないものに思えてしまうはず。しかし、お話ししたような主人公と患者の対比に気づけると、本当の面白さや美しさに気づけるのではないかなあと感じました。


それでは短くはありますが、今回はこの辺で。

ここまでお読みいただきありがとうございました。またお会いしましょう!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る