風景(堀辰雄)感想
こんにちは。あるいはこんばんは。りりです。
今回は堀辰雄『風景』についての感想をお話したいと思います。ネタバレが多大に含まれておりますので、まだ読んでいない方で、読む予定のある方は、一度この記事から離れて原文を読んでみていただけるとありがたいです。
また、同シリーズの中に『風景』の紹介も投稿しております。よければそちらもどうぞ!
いやぁ…まさかそんなオチになるとは。
前半は景色の綺麗さに圧倒されまくってたかと思ったら、途中はマッチと一騎打ち。他所様の建物のすぐ近くで火なんて起こすんじゃありません。そうこうしてるうちにおっさんに怒られる主人公。どういうことやねん。そして凹むかと思いきや、キッチリ反省してその場から立ち去る。主人公いい子だね。
でも、ですよ。オチ、綺麗すぎませんでしたか。絵画のような風景。真新しいペンキの匂い。税関の建造物。そんな手がかりから、まさかルソーに話が飛ぶなんて、誰が想像できるんでしょうか。
私も気になって、ルソーのwikiを読んでみました。税関の仕事の合間に絵を描いていたことから、「日曜画家」と呼ばれ、「デゥアニエ・ルソー」(デゥアニエ…税関吏)というあだ名もあったそうな。そしてクセ強めのちょびヒゲまでしっかりカバーしてるんだから、これはもうルソーと同じ時代に迷い込んだとしか考えられません。ちなみに私は、『紹介』の文章でもお話しした通り、美術に関しては本当に最低限の知識しか持ち合わせていません。ルソーも『眠るジプシーの女』(っていうタイトルで合ってるはず)しか知らず、画風ももう忘れてしまっていました。この作品を読んで、それをどれだけ後悔したか。けれど、あれだけ緻密な絵を描くということは、きっと性格もかなり神経質な人だったんだろうなあと、個人的には思いました。だから「僕」がマッチをする音にも、敏感に反応してしまったんですね。
そうした知識があった上で、なおかつそれを小説に組み込んで、繊細に表現することのできる堀辰雄先生って、一体何者なんですか、、
あと、堀辰雄先生の風景描写って、思わずため息が出ちゃうくらいキレイで美しいですよね。まるでその風景をそのまま写真に収めたみたいに、克明にその景色が頭の中に浮かび上がってくるのが、読んでて気持ちが良いです。きっとそれが、大学入試に使われやすい理由なんでしょうね。高校生にも楽しんでもらいやすく、なおかつ作成者にとっても問題が作りやすい。Win-Winやないですか。やったね。
うん、大体言いたいことは言い尽くした気がするので、今回はこのくらいにしましょう。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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