檸檬(梶井基次郎)

こんにちは。理系文学オタクのりりです。

今日ご紹介するのは、言わずと知れた名作『檸檬』。梶井基次郎の忌日名の由来となった、とても有名な作品です。




まずは、ちょっとだけあらすじをーーといってもほとんど言うことがありませんがーー。



主人公は借金を抱え、陰鬱な面持ちで街をあてもなく歩いていました。贅沢をすることが好きだったものの、今では経済的余裕もなく、ただ無為に時が過ぎるのを待つだけ。そんなある日、彼が街中で見つけたものとは…?




うん。有名すぎるし、タイトルで既にネタバレしちゃってる。

この小説は、内容ももちろんぶっ飛んでいるのですが、「えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終壓へつけてゐた」という書き出しがとにかくインパクトつよつよなおかげで、初めて読んだ瞬間は頭を鷲掴みされたようなショックを覚えます。この書き出しは、クイズとかでも頻出ですよね。私が所属していたクイ研(クイズ研究会)では、なにか嫌なことがあった時に「ウッ…不吉な塊が…!」とかなんとか言いながら胸を抑えるのが流行ってました。謎すぎる。


また、作者である梶井基次郎先生は、孤独感や寂寥感といったものを、詩的でロマンチックに表現することで有名な小説家です。『檸檬』は、そうした梶井先生のスタイルが一番よく表現されている作品だと(個人的に)思っています。最初は「意味が分からない」と読みづらさを覚えてしまうかもしれませんが、読むうちに面白さや作者の言いたいことが分かってくるはず。ちなみに私は、小説がメインの文豪の中では、梶井先生はトップクラスに好きです。


この小説を読むにあたって注目していただきたいのは、主人公の意味がわからない思考の切り替え。「あんなに気持ち落ち込んでたのに、そんな行動で気分転換できるか!?」と、読了した瞬間のあなたは思うはず。けれど、この小説は本当に素晴らしくて、自分も思わずやってみたくなるような中毒性を秘めています。私はその場に足を運ぶのが、一生の目標のうちの一つです。それくらい好き。


そして、読了時間は旧字で十分ほど。短めの小説ではありますが、最初はクセの強さに思わず詰まってしまうかも。ゆっくりと読み進めていくと、パニックにならずに読めますよ。


また、この短編は、青空文庫で配信されており、無料で気軽に楽しむことができます。旧字旧仮名と新字新仮名の二パターンが配信されていますので、梶井先生の世界観をそのまま楽しみたい方は旧字が、内容をしっかり理解したい方は新字がオススメです!


それでは、本日はこの辺で。ぜひ一度、梶井先生の世界に触れてみていただけると嬉しいです。お読みいただき、ありがとうございました!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る