野遊びのヒロインはよちよちあるき




 野遊びのヒロインはよちよちあるき


 僕の趣味? はマッタリ一人ピクニックをすることです。軽い食事とお菓子と飲み物を持参して、折り畳み椅子に腰掛けて、ひたすらボーッとするのです。僕の創作のアイデアは、大概、一人ピクニックをしている時に浮かんだりします。つい先日も、近くの湖へと遊びに行きました。そして……ちょっと感動的な出会いがありました。


 その日も、緑が敷き詰めるポカポカの公園の片隅で、いつも通り遊具に腰掛けました。すると小さな女の子がちょこちょこ歩いてきて、目の前で立ち止まって、僕のことをじーっと、不思議そうに見ているのです。年齢は、二歳になるかならないかぐらいでしょうか? ギリギリ、言葉を喋れないぐらいの可愛らしい女の子でした。

 僕は少々困ってしまいました。

 子供は好きといえば好きなのですが、どういう反応をしたら良いのか分からなかったのです。無邪気にいないいないバアとかして笑わせたり、手持ちのお菓子をあげても良かったのですが、それもなんだか怪しいし、親御さんによっては怒ったりしますよね。

 一方、女の子は至近距離でひたすら動かず、僕の顔を見たまま固まっています。

 ちょっとタジタジでした。

 で、なんか気まずいなぁ、と感じていると、女の子の祖母らしき女性が「すみません」と、やってきて、女の子を抱き抱えました。


「カレンちゃん、どうしたの?」


 と、祖母らしき人が言うのを聴いて、軽く衝撃を受けました。

 そう。僕の小説をお読みになった読者さんならお分かりだと思いますが、カレンちゃんは、僕の作品に登場する代表的なヒロインの名前だったりします。僕がカクヨムで一番最初に上げた小説のタイトルは、


「可憐な可憐に殴られる!」


 なのです。ヒロインは勿論、可憐ちゃんという少女です。僕の作品のキャラクターとしては、可憐ちゃんはボクサツ君と並び、ぶっちぎりで読者人気が高かったりもします。

 不思議な縁みたいなものを感じざるを得ない出来事でした。

 もしかしたら、小説の可憐ちゃんがよちよち歩きの頃もあんな感じだったのかな? なんて、創作意欲を刺激されました。


 季語は「野遊び」です。ピクニックのことらしいです。



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