第9話 亜梨沙&リカルド登場

ここはイタリアのフィレンツェの郊外


「あら麦ちゃん久しぶりね〜どうしたの?」


電話をする子綺麗な老婆と言うには若々しい女性


「ええ…何ですって!ちょっと待って頂戴…リカルド!大変よ!」


「どうしたんだい亜梨沙…そんなに慌てて」


「麦ちゃんからよ…とにかく話を聞いてあげて」


「ああ俺だ…何?わかった…こちらからも手を打とう…奴め俺達を敵に回した事を後悔させてやろう」



リカルドと呼ばれたダンディな老人は身支度を始めた


「亜梨沙…君も一緒に来てくれ!大捕物になるぞ」


「わかったわ…でも間に合うのかしら?」


「日本の知り合いに連絡するさ…」



リカルドはスマホを手に取ると慌ただしく怒鳴るような声で話し始めた



「ゲラルド!俺達は日本に向かう!留守を頼んだぞ」


「はい父さん…母さんもどうかお気をつけて」



☆☆☆☆☆☆



時緒は今日も開店準備で忙しそうにしている


あれからと言うもの店は大繁盛して無期限の契約を勝ち取っていたのだ


その日は店の周りの雰囲気が何だかおかしかった


黒ずくめのスーツ姿のサングラスをした人物が数人ウロウロしていた


見た目は「逃走中」に出てくるハンターのようなのでかなり目立つ



その様子を影から隠れて見ている人物が居た


ジャン・ポール・デマジオだった 


「何だあいつら…まるで見張られてるみたいで気分が悪い…まぁ気にせずトキオの元へ急ごう」


店に近づこうとした時黒ずくめの男が目の前に立ち塞がった


「なっ…何だよお前…邪魔だ!どけよ!」


「ジャン・ポール・デマジオか?」


「だったら何だよ?」


「時緒お嬢様の元へ向かわせる訳にはいかない…お引き取り願おう」


「何だと?くそっ…離せよ!」


ジャンは黒ずくめの男に外へ摘み出されてしまった



その様子を見ていた時緒はホッと胸を撫で下ろしていた


「何だかわからないけど助かったわ…」



そして翌日



時緒を訪ねて来た人物が居た



「え?もしかして亜梨沙お婆ちゃま?」


「時緒〜会いたかったわ!私の事覚えててくれたのね!嬉しいわ」


「失礼するよ。君が時緒だね?幼い頃に会って以来だから覚えて居ないだろうね」



時緒の祖父である亜斗夢の妹である亜梨沙とその夫であるリカルドであった


「何で日本へ?」


「貴女がジャン・ポール・デマジオからストーカーされてるって麦ちゃんから聞いて居てもたっても居られなくて来ちゃったの」


「今日は奴は姿は見せて居ないのか?」


「はい…今日はまだ見てませんね」


「そうか…しかし奴の事だ。どんな手を使っても時緒に接近しようとするはずだ」



「帰りは何時頃になるのかしら?」


「今日は20時くらいまでですかね?仕込みもあるので時間は前後すると思いますけど…」


「わかったわ〜またその頃に迎えに来るわね」



そう言い残して亜梨沙とリカルドは店を後にした


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