第5話 叔母の職業
時緒は某有名百貨店にフランス菓子の店舗を期間限定で出店する事になった
そして開店の日を迎えた
いわゆるデパ地下に作られた特設の店舗で時緒はピティヴィエの他数点のフランス菓子を製作してショーケースに並べていく
あとむやから2人の職人が手伝いに駆けつけ慌ただしく準備を進めた
試食用の菓子も用意していざ開店の時間を迎えた
初日の売れ行きはまぁまぁ目標には何とか達した
翌日も売れ行きは上々だった
噂を聞きつけたあとむやの常連客や初日に買ってくれた人がリピーターとして買いに来てくれたりした
そして紫堂光太郎も再び時緒を尋ねて店舗を訪れた
「あら?紫堂くんじゃない…今度はどうしたの?」
「葛城はミレット・カツラギってデザイナー知ってる?」
「名前は聞いた事あるけど…」
「あまり表に出てこない人なんだけどさ…その人がこの店の事ブログで話してたみたいなんだよ」
「そうなんだ…」
すると表から時緒を呼ぶ声がした
「時緒〜居るかしら?」
出てみると見覚えのある人物が来ていた
「あれ?麦ちゃん?どうしたの?」
そこに居たのは叔母である葛城麦であった
「姪っ子の様子を見に来たのよ〜どう?順調かしら?」
「ぼちぼちってところかな?」
「ねぇ…真面目な話したいんだけど後で時間作ってくれないかしら?」
「良いけど…」
「じゃあ後で迎えにくるわね!」
そう言って叔母は去って行った
「あの人は?」
「うん…私のお父さんの妹…つまり叔母さんよ」
「どっかで見た事あるような…」
「そうなの?麦ちゃん有名人なのかなぁ?」
「何してる人なのか知らないの?」
「聞いてみた事無いから…お菓子の勉強ばかりしてたからね」
「フランスに行ってたんだっけ?」
「お爺ちゃんの弟がフランスで洋菓子店経営していて修行させてもらってたの」
「へぇ…なんて名前?お爺さんの弟さんって」
「葛城亜乱…向こうではアラン・カツラギとしてけっこう有名だったわね」
「アラン・カツラギ?!マジか!超有名な経営者じゃんか!」
「麦ちゃん何の話なんだろう…」
そして仕事を終えて帰る支度をしていたら何だか辺りが騒がしくなって来た
「おい…あれ…」
そこに現れたのは綺麗な服を着てこちらに歩いてくる葛城麦の姿だった
「む…麦ちゃん?!」
周りの人々の話し声が聞こえた
「あれってミレット・カツラギじゃ無い?」
「マジで?有名なファッションデザイナーじゃ無い!サイン貰っちゃおうかしら」
「時緒〜迎えに来たわよ!」
葛城麦の正体はファッションデザイナーのミレット・カツラギだったのだ
高級車に乗せられて向かった先は三つ星ホテルのレストランだった
食事を取りながら麦は時緒にこう切り出した
「ねぇ…時緒の着るパティシエの服をデザインさせてくれないかしら?」
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