第4話 思わぬ展開
あとむやに時緒が作ったフランス菓子『ピティヴィエ』が置かれて数量限定で販売された
最初の数時間は一つも売れなかったが、午後に入り3時が迫ると徐々に売れ始めた
そして夕方の5時ごろには全て売り切れたのだった
「やりましたねお嬢様!この調子で明日も頑張りましょう」
夜も更けて時緒が明日の仕込みをしていると誰かが店の扉を叩く音がした
恐る恐る開けてみるとそこにいたのは幼馴染の紫堂光太郎だった
「紫堂くんどうしたのこんな夜更けに」
「良かった…灯りが見えたから絶対居ると思って来たんだよ」
「実はね…君が作ったこの『ピティヴィエ』が大手百貨店の広報の目に止まってね…期間限定でピティヴィエを売ってくれないかと申し出があったんだよ!」
「え?でもなんで紫堂くんが?」
「僕は新人のバイヤーでね…店に置く新しい商品を探していたんだ…君が帰国したと聞いて様子を伺ったんだよ」
「え?それってストーカー…」
「細かい事置いといてどうする?期間は来月初めから終わりまでだよ…」
「その話は上まで行ってるの?」
「その件なら問題無いよ。明日君のピティヴィエを買って行って上の人間に持っていく予定だからね」
「そうなの…じゃあ材料とか準備しないとね」
「ピティヴィエだけでは不安だから他にも数点フランス菓子を作るわ」
「そうして貰えると助かるよ」
そしてその日から一週間後…時緒は大手百貨店の地下食品コーナーに居た
「葛城時緒様ですね?私はマネージャーを務めております片桐と申します」
「葛城時緒です…あいにく名刺はまだ持っておりませんのでご了承ください」
「では出品するお菓子を…」
時緒が持参してのはピティヴィエの他にマドレーヌやクッキーとパウンドケーキだった
「日持ちがする方が良いかと思いまして…」
「おお…細やかな配慮痛み入ります」
「では試食させていただきますね」
片桐は時緒が作った菓子を一つづつ丁寧に食べてゆっくり味わった
「いや〜どれも素朴で優しい味ですね!これなら合格ですよ」
「では出店の準備を進めますので必要な機材などがあればお申し付けください」
こうして時緒は期間限定ではあるが大手百貨店に自分の店を構える事が出来たのだった
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