第100話
地上へ戻された俺達はとりあえず宿へと向かう。
ネロが泊まるのならば、金はあるのでリンガミルで一番良い宿で良いだろう。
あとデュランはすっかり熟睡だ。
何でもラー・ブレスカが神々同士の戦いを人には見せたくなかったらしく。そのせいでデュランは深く眠らされている。
「そやつなど置いていっても構わぬぞ」
デュランには辛辣なネロ。
ただ嫌っている訳ではなさそうだ。
流石に放置は忍びないので俺が担ぎ宿まで連れて行く。宿屋の店員にはチップを多めに渡し、エコノミールームに運んでおいてもらった。
「それじゃあ、俺達は」
最上級のロイヤルスィートでも、そう言いかけたところでネロが思わぬ発言をする。
「うむ。駆け出しの冒険者ならば馬小屋に泊まるのが習わしであろう」
まあ確かに苦労していた頃に馬小屋に泊まった話をしたことはある。しかし、あんな戦いの後だ、もっとゆっくりと疲れを癒せる部屋に泊まったほうが良い。
俺はそう言って説得したが、ロイヤルスィートな部屋など当たり前過ぎて面白くないと真顔で断られた。
仕方ないので俺も付き添って二人で馬小屋に泊まることにした。
翌日。先に目が覚めると、隣で寝ているネロを見る。寝顔はとても世界すら滅ぼせる破壊の女神とは思えないほど愛らしい。
これが馬小屋でなければさらに最高だったのだけれど……。
そんなことを考えていると、俺達を探していたのか、デュランがこちらの方に走ってくるのが見えた。
俺はそっとネロの肩を揺する。
ネロはその振動で目を覚ますと、目を擦りながらムニャムニャ言いながら口元によだれが……。
流石にデュランには見せられないので慌てて手持ちのハンカチで口元を拭って、シャキリとさせる。
「ふみゃあゲイル、オハヨウさん」
まだシャキリとしきれていないネロの前にデュランが走り込んでくると、見事な土下座を見せた。
「女神カーリーンよお役に立てず済みませんでした」
頭を地面に着け必死に謝るデュラン。
常世で何があった?
俺の知っているデュランはもっとストイックなやっだったはずなのだが。
「ふにゃ、良い良い。気にするな」
「あっ、ありがとう御座います。それで早速ですが我の次なる使命を承りたく」
「ふにゅぅ、あー、それならリンガミルで一番美味しいランチの店を探してくるのだ」
「かしこまりました」
最早忠実な犬と言っても良いデュランは、使命を果たすため颯爽とその場から離れた。
その後。ようやく寝ぼけ状態から回復したネロとデュランが見つけたランチの美味しい店で食事を取る。
そしてリンガミルを去る前に一度ニーナにも会っておこうと考え、ネロを連れ立ってニーナの居る孤児院へと向かった。
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読んで頂きありがとうございます。
評価をしていただいた方には感謝を。
こちらも終盤と言うことで
新作開始します。
自分なりに楽しく書けているので、そこそこ楽しめるのではないかと思います。
合わせて読んで頂けたら嬉しいです。
《タイトル》
『覇者転生 〜スローライフなにそれ美味しいの?』
https://kakuyomu.jp/works/16818093077307679991
こちらも引き続き応援してくれると嬉しいです。
面白いと思っていただけたら
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もちろん率直な評価として☆でも☆☆でも構いませんので宜しくお願いします。
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