第99話

「決着はついたようだな」


 一部始終を見ていたラー・ブレスカが告げる。

 瀕死だったデュランも治療してくれたようで、今は安らかに眠っている。


「それで古き竜神よ我をどうするつもりだ」


「前回封印したのは力の暴走を恐れての事。しかしお主はもう自らの力をコントロールする術を身につけているのだろう。ならば我がどうする事もない」


 どうやら前回ネロが封印されたのは力がコントロール出来ない事が主な原因たったらしい。

 力を制御出来ているネロにラー・ブレスカは敵対する意思は無いようだ。


「そうか、ならわらわが人の世に紛れても問題ないと」


「うむ。それなのだが、人の世にはお主の力は余りにも強すぎる。なのでその力を取り戻しつつある神環に一時的に力を封印してもらえぬか?」


「なるほどヘイローを掲げた時のみ神の力を行使できるようにするのだな」


「さよう」


「ちょっと待ってくれ、それでは神環を借たままになる。一応子息のラー・カイラルから借り受けた品なのだが」


 俺は二人のやり取りに待ったを掛ける。


「構わぬ。アレには一時的に預けておいただけなのでな、真の持ち主の手に返るるのならそれが一番良い」


「えっと、つまり元々の持ち主はネロだったのか?」


「ああ、そうだこのヘイローは我が一族に受け継がれてきた物。だから元々わらわの物だ」


「まあ、そういう事なら納得だ。ラー・ブレスカよ神環の件はご子息にはそう報告してくれ、借りたまま逃げられたなんて言われたらたまらないからな」


「分かった。アレには我から伝えておこう」


「うむ。話はついたようだな。ではゲイルよ約束通り街に戻った後はぼーけんとやらを楽しもうぞ」


「ああ、そうしよう。ところで冒険にはこいつも連れて行くのか?」


 俺はスヤスヤ眠るデュランを指差す。


「いいや、此奴はまだまだ未熟。わらわの使徒として試練を課そうと思う」


 そういう事なら当初の目的通り、二人で気ままに世界を冒険して回るとしよう。

 楽しみだ。やっと心から信頼できる人? 正確に言うと神だが、その旅路に思いを馳せる。


「ふっふっふ、楽しみだなゲイルよ。随分と世界は様変わりしているであろうからな。ちゃんとわらわを案内するのだぞ」


 ネロもネロで浮かれているのが見て取れる。

 そんな俺達二人を見ていたラー・ブレスカの御使いが主に語りかける。


「ふぅ。カーリーン様も随分と丸くなられた。これなら地上に帰しても大丈夫そうですね」


「そうだな。このまま何事もなく、その破壊の意思が世界に向かわぬよう見守るとしよう。アラニールよ三人を地上へ」


「かしこまりました」


 御使いはラー・ブレスカの言葉に従い俺達をリンガミルへと転移させた。



――――――――――――――――――――


読んで頂きありがとうございます。

評価をしていただいた方には感謝を。



こちらも終盤と言うことで

新作開始します。

自分なりに楽しく書けているので、そこそこ楽しめるのではないかと思います。


合わせて読んで頂けたら嬉しいです。


《タイトル》

『覇者転生 〜スローライフなにそれ美味しいの?』


https://kakuyomu.jp/works/16818093077307679991



こちらも引き続き応援してくれると嬉しいです。

面白いと思っていただけたら


☆☆☆評価を頂けると泣いて喜びます。


もちろん率直な評価として☆でも☆☆でも構いませんので宜しくお願いします。

  





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