第94話
爆風を纏った矢はアヴェルに直撃するが、デーモンロードと一体化したアヴェルにはたいしたダメージにならなかったようだ。
脇腹辺りを抉り抜いたが、すぐに再生し何事も無かったように咆哮をあげ、口から黒光を放つ。
迫る負の魔力が収縮した黒い光を、連続速射で撃ち返す。
一本目の神気の矢が負の魔力を打ち消し相殺し、二本目がアヴェルの眉間目掛けて飛んで行く。
そしてそれを追いかけるように俺自身もアヴェルに接敵する。
しかしアヴェルは二本目の矢を何も無い空間から取り出した漆黒の盾で弾くと、追撃で切り込んだ俺の
中身はデーモンロードらしいのだがアヴェルの特性も上手く利用しているらしい。
思ったより面倒臭い事になってきた。
事実アヴェルは盾を構えながら並列魔法で即死級攻撃を同時に行ってくる。
こちらはその攻撃を躱しながら、反撃を試みるも盾を打ち砕け無い。
いやはや本当に情けない。
いくらデーモンロードとはいえネロの前でこんな醜態をさらすなんて。
それこそネロの隣に並び立つために掴み取った神格位【
俺は気合を入れ直すと神気を練る。膨大に膨れ上がる神気を練り込みなかまら、共に大きく息を吸い込む。そして風の持つ破壊的な力を一気に収束させ吐き出す。
放たれた神の息吹は、風を巻き、突風となり、嵐を生む。
神気を帯びた猛烈な嵐は、アヴェルを呑み込むと鋭利な風により四方八方から切り刻む。
そこに神弓バヴハラウに
放たれた三鈷杵は盾を避けるようにしてアヴェルの背中に食い込むと、今度は周囲の風を吸収し始める。
三鈷杵を通じて、体内に神気の嵐を送り込まれる形になったアヴェルもといデーモンロードは、体の中で膨張しながら渦巻く神気に耐えられなくなり呆気なく爆ぜた。
負の魔力に染まっていたアヴェルの肉体はそれと共に神気で浄化され霧散して行く。
結局最後までミナに利用されただけの男の最後は哀れなものだった。
そんな消え行くアヴェルを前にふと思ってしまう。
もし仮にヤツが極光の刃に入らなければ、ミナに唆される事もなく、そうなればクラリスとの事も……。
そんなたらればが一瞬頭に過る程度には、俺にも思うところはあったようだった。
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