第93話

 「どうかしら、恋人を奪った相手の落ちぶれた様を見れて気分が良いでしょう」


 薄気味悪い笑みでミナが話す。

 こちらとしてはアヴェルに今更興味など無い。


「悪趣味だな」


 そう言葉を返すがそれでもミナの笑顔は崩れない。


「そうでも無いわよ。この男は貴方に劣等感を抱いたまま死んじゃったからね。ここで汚名挽回してもらわないと、って汚名を挽回するってこの男にぴったりだと思わない」


 あえてアヴェルを貶す言葉を選び挑発してくるミナ。

 生憎とそんな言葉で怒るほど義侠心あふれる性格では無いと分かっていそうだが、ミナはどうやら俺に語りかけるのが目的ではなかったらしい。


「うがァァァァっ」


 ミナの言葉に反応してアヴェルが地響きのような唸り声を上げる。


「アハハハ、そいつの体デーモンロードにくれてやったんだけど、まだ僅かながら執念というか怨念が残っていたみたいね。それを取り込んだデーモンロードは貴方を殺したくて仕方ないみたいよ」


 ミナの言葉通り尋常では無い殺気をこちらに向けて放ってくるアヴェルだった者。


「仕方ない。ネロ、俺はこいつの相手をする」


「うむ。相手はデーモンどもの首魁、その力は神にも匹敵する。油断するなよ」


 俺は頷き返すと、デーモンロードの依代になったアヴェルを引き付けるため、神弓バヴハラウに風を纏わせて放った。


 

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続きを書くモチベーションにも繋がりますので

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