第92話

「ふふっ、そうやっぱり貴方も私を裏切るのね」


 片腕が消滅したにも関わらずミナが笑顔のままに告げる。


「先に裏切ったのはお前だろうミリアーナ。わらわにある事ない事吹き込んで、臣下まで誑かしたのであろう。ゲイル達のパーティにやった事と同じ様に」


 ネロは喋りながらも、左手で魔法を行使し、ミナに向けて放つ。 

 しかし放たれた【破壊光線ブロークンレイ】はミナの残った左手で展開された障壁で防がれてしまう。


「だって、そうでもしないと貴方の力を暴走させることが出来なかったでしょう。本当に残念だったんだから。私も暴走する貴方と共に世界を壊したかったのよ」


「たわけが神の因子に魅入られよって」


 ネロが今度は両手で魔法を行使する。

 極太の破壊光線がミナ目掛けて放射される。


「すでに力は取り戻したのよ、貴方の復活と共に、だからそんな攻撃効くわけないでしょう」


 ミナは変わらず笑顔のままに今度は障壁ではなく魔法を反射する鏡面を作り出し、攻撃を跳ね返す。

 ネロが跳ね返ってきた自らの魔法を打ち消している間。ミナは右手に再生の魔法を使う。すると消滅したはずの右手が復元された。


「ネロ。あれがお前の敵で間違いないな」


 一瞬の攻防に目を奪われていたが、改めてネロにとっての敵を確認する。


「ああ、わらわの敵はそこのミリアーナだ」


「ならば俺も手を貸そう」


 俺はそう言って神弓バヴハラウを具現化させ戦闘態勢に入る。


「あらあら、二人がかり、それとも三人掛かりかしら?」


 ミナは相変わらず笑顔を崩さずラー・ブレスカを見る。ただその目つきだけは殺気を帯びていた。


「ラー・ブレスカよ助太刀は無用。それよりそこの狼人族を保護してやってくれ」


 ネロも一応デュランの事は気に掛けてくれていたらしい。


「うむ。心得た。その者を保護しつつ、我はそなたらの戦いを見守る事としよう」


 ラー・ブレスカは神力なのか御使いとデュランを一瞬で側に呼び寄せると魔法に疎い俺でも分かる、強力な障壁を展開させた。


「そうしてくれると助かる。ここからはわらわとゲイルに仇なすミリアーナとの問題だからな。我ら二人でケリをつけて禍根を根絶するとしよう」


「ふっふ、ネロがそう言ってくれて助かったわ。流石に私も神二柱と神格者の相手は厳しいから」


 ミナはそう言うと、指をパチンとならす。

 すると地面に魔法陣が浮かびあがり、そこに見覚えのある顔が現れた。


「アヴェル。どうしてお前が?」


 俺は思わず語りかけるが、アヴェルは白目をむいたまま答えを返すことはなかった。




――――――――――――――――――――


読んで頂きありがとうございます。

評価をしていただいた方には感謝を。


続きを書くモチベーションにも繋がりますので

面白いと思っていただけたら


☆☆☆評価を頂けると泣いて喜びます。


もちろん率直な評価として☆でも☆☆でも構いませんので宜しくお願いします。

 



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る