第90話
「ふむ。どうやら役者は揃ったようだな」
ラー・ブレスカがそう告げると、彼の使徒が目の前に転移してくる。
ぼろぼろのデュランと冷酷な笑みを浮かべるミナと共に。
「おやおや、久しぶりですねネロ」
ミナは笑みを浮かべたままネロに視線を向ける。
「まさか、本当にお前だったとはなミリアーナ」
ネロが口にした名前に驚きを隠せなかった。
ミナがネロの唯一の友だったミリアーナだと?
最初は年齢が合わないと思った。
だがミリアーナは神格位を得たと言っていた。
なら彼女もまた不老なはず。
「そうかミナ。お前がミリアーナだったんたな」
「はいそうでーす。私ミナちゃんの正体こそミリアーナなのですよ。ゲイルは驚いたでしょう」
こちらをおちょくるようにウィンクするミナ。
俺が怒るよりも先にネロが怒声を上げる。
「ミリアーナ。全てお前が企んだのかぁぁあ」
「あらあら、なんでネロはそんなに怒ってるのですか、折角私が貴方の復活の為に、色々と手を回してあげていたのに」
聞き捨てならない言葉だった。
俺は怒れるネロを制して俺はミナに尋ねた。
「最初からこれが目的でパーティに加わったのか?」
「ええそうよ、とは言っても最初は期待してなかったけどね。だって貴方達弱かったから」
「ならなぜこんな事を」
「弱くても伸びしろはあったから、だから強くなるために色々と手を回したりしたわ、ほら最初に私と一緒にパーティに加わったドワーフがいたじゃない」
「ドットのことか」
「そうそうって、よく名前なんか覚えていたわね。確かにそんな名前だったと思うけど、彼はさ、あれ以上は強くなれないから、ちょっと仕込んで退場してもらったの。合わせて貴方達に危機感を持たせる意味もあったわ。あと同情するふりしたらあのクラリスちゃんって簡単に気を許してくれるようになったし、こう言うのを一石三鳥って言うんだったかしら」
楽しげに答えるミナ。
仲間の死を冒涜する姿に怒りが募る。
「……もしかして、アヴェルとネルソンの件もお前が裏で糸を引いていたのか?」
「えっ、勿論そうに決まっているじゃない。あんな脳筋の男とプライドだけが高いアホ、ちょっと囁いたら調子にのってケイルを生贄しようと動いてくれて滑稽だったわ。まああの時はゲイルがここまで強くなるなんて思ってなかったし、私にも靡いてなかったら良いかなって」
唆されたアヴェルとネルソンが悪くないとは言わない。でも余りにもこいつは人を馬鹿にしすぎている。
「なら、あの時わざわざ死にかけたのも演技だと」
「ああ、あれ! そう迫真の演技だったでしょう。いくら力を失ってても神格者の私が簡単に死ぬわけないのに。クラリスちゃんたら、あれで凄く責任感じちゃって、会いに来るたびごめんねって謝って、鬱陶しかったけど、おかげで力を求めてくれて上手くいったと思ったのにな。貴方に簡単に負けちゃう程度なんだもの期待外れもいいところよ。本当に使えない子」
心底がっかりとした表情を見せるミナ。
逆に俺は血が滾るのを感じていた。
「なら、わらわを蘇らせた理由はなんだ? 答えろ。事によってはお前を滅ぼす」
そこに同じ様に怒り渦巻くネロがミナに最後通達を告げる。
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