第87話
勝負は勿論一瞬でついた。
倶利伽具羅を出すまでも無い。
どうやらネルソンは完全に俺の力を見誤っていた。
いや自分の力に慢心したのかもしれない。
所詮与えられた仮初の力に過ぎないのに。
俺の神気を纏わせた拳一撃で消し飛んだネルソンの残滓に哀れみの視線を向ける。
「どうだ、わらわの作戦は上手くいっただろう。だいたいわらわと互角に渡り合えるゲイル相手に、わらわの力の一部分しか持ちえないアヤツが勝てるわけないからな」
こうなることが分かりきっていたネロは満面の笑みで俺に絡みついてくる。どうやら褒めてもらいたいようだ。
俺はネロのお望み通り頭を撫でて褒める。
「ありがとな。おかげで嫌な因縁にケリをつけることが出来た」
「うむ。わらわはそこもちゃんと計算していたぞ。やはり禍根は自らの手で断つべきだからな」
ネロの言う通り、なかなか盛大に勘違いしていたので、放っておいたら変に逆恨みをされていたかもしれない。
というか、もう喧嘩をふっかけてきた時点で勝手な逆恨みだったとも言えるが。
「あっ、ところでネロ。お前のところにデュランが来ていたのか?」
ネルソンとのやり取りで聞こえてきた名前。
あの時は話の腰を折りたくなかったので聞かなかったが、今更ながらに気になっていた。
「ああ、あの犬っころだろう。来て早々生意気だったのでちょっと撫でてやったら。逆に感銘したとか言ってわらわの従者になると言い出したぞ」
「もしかして従者にしたのか?」
「いいや、鬱陶しいからいらんと断ってやった。ただあんまりしつこいので隠密として従事させることにした」
なるほど隠密か、あいつに隠密行動が出来るのだろうかと思いつつ、重要な点を見落としていた。ネロがここに復活したならデュランは今どこに居るんだ?
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