第85話 ネロ視点
「麗しき女神カーリーンよ、何卒御慈悲を私は、そう騙されただけなのです。アナタが信用しているあの男に、全てあの男の企てです。現にアイツは
歯が折れ鼻血を垂らしながらネルソンという痴れ者が必死に言い訳をする。
追い詰められてどんな機転を効かせるのか試しに話を聞いてはみたが、余りに酷い内容だ。
まだわらわを封じたエルフ共の方が骨があり楽しませてくれた。
なによりゲイルは別にこの者を騙してなどいない。
それを証明する為に、わらわは足元に投げ捨てられた草木で織られた古めかしい冠を手に取る。
「それです。それが何よりの証拠。貴方を蘇らせるために必要だった神冠を、そんなゴミのような偽物で誤魔化そうとしたのです」
「ほお、なら聞くがわらわの復活に神冠が必要なら、この偽物でなぜわらわが蘇った?」
「……えっと、それは、その私の、そう私の力です。私が本来借りるべき神冠の力を代行したのです。つまり、貴方を蘇らせたのは私の功績。それに免じてどうぞ寛大なる御慈悲を」
原初の神に最も近しい一族と呼ばれたエルフも、こう醜態を晒せば浅ましく見苦しい。
「折角だ。歳だけ重ねた無知蒙昧なエルフにひとつ教えてやろう。神格位すら得てない者が神冠と同等の力を発揮するなど無理なのだよ」
わらわはネルソンとやらに講釈を垂れ流してやると、ヤツがゴミのような偽物と言い放った樹の冠に施された封印を解く。
すると冠は輝き始め、周りの樹木がポロポロと剥がれ落ちて行く。
「これはゲイルがやったのか?」
「ああ、すこし頑張ってみた」
少し自慢顔のゲイル。
全く、戦う事しか覚えていないのかと思えば、こういった小技も使えるようになっていたらしい。
ますます神格者が板に付いてきて喜ばしい事だ。
まあ、なんというか、いずれわらわの伴侶となるつもりならそれくらいは出来て当然だろうが。
なんなら、また褒美でちゅーくらいならしてやっても良いかもしれない。うん、あくまで褒美としてだが。
そうなふうにわらわが考えてるところに、雑音が耳を汚す。
「なっ、なんなのだ、その輝きは?」
「これはな……」
わらわが神冠に施された封印を解いたことで姿を現した本来の姿。光り輝く輪環。原初の神の頭上に神々しく輝いていたと言われるヘイロー。それが神冠の本当の正体。
「これこそが本物の
わらわは輝く光を羨望の眼差しで眺める愚者の前で、その光の神環を頭上に戴いた。
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