第82話
不意打ち気味に感じる唇の感触。
ゆっくりと唇を離したネロがはにかみながら告げる。
「どっ、どうだ。わらわのちゅーを褒美として賜った気持ちは、嬉しであろう、嬉しよな? 嬉しいと言え」
どうやらネロはお礼として俺にキスのプレゼントをしてくれたらしい。
嬉しいと尋ねられれば、勿論嬉しいと答える。
そして同時に実感する俺にとってのネロの存在の大きさ。
そんな余韻に浸っている時に、突然ネルソンが怒鳴りながら大声を上げて俺の名を叫んだ。
「……なあ、あやつは何を怒っておる」
うーん、俺にも分からん。
仕方ないので、ネルソンに声を掛けてみる。
「おい、ネルソンなにを叫んでいる?」
「何を叫んでいるだと、ふざけるな。俺をうまく利用したつもりだろうが、そうはいかんぞ」
なんと言うか、ネロの復活を手伝って貰ったのは確かだが利用した覚えは無い。
一応不穏な事をしないか警戒はしていたが、ネロがこうやって無事に復活した今、気分の良い俺は過去の件も含めて水に流そうと思っていたくらいだ。
だから俺としてはなんとか宥めようとネルソンに語りかけた。
「少し落ち着けネルソン。儀式は成功したんだ」
「そうかそうか。ふん、私を出し抜いたと思って随分と余裕じゃないか、だかな私にも奥の手はある。そうこう言う時の為にな、キサマに
ネルソンはそう言って頭に戴いた冠を脱ぎ捨て地面に叩きつける。
「フッフッフッ、ハッハッハッ。私が二度も騙されるわけが無いだろう。知っていたさ、お前が偽の神冠を私に渡していたことはな」
そしてネルソンは、別の煌びやかな王冠を取り出すと自らの頭上に載せた。
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