第79話
月は満ちた。
ネロ復活の準備が整ったのだ。
まだ完全に懸念事項が払拭された訳では無いが、古代の儀式に疎い俺としては、そこはネルソンに任せるしかない。
奴にどういう意図があるかは分からないが、それはこれから見極めれば良い。
そして、もし再びこちらに悪意を向けるようなら、容赦なく切り捨てるだけだ。
俺はネルソンに言われた通り、リンガミル中心にある地下の共同墓地へと足を運ぶ。
そこは迷宮というほど複雑ではないが五階層まであり、目的の場所は最下層の中央。
リンガミルで鎮魂祭と言われる祀りを執り行う場所で、リンガミルでも神聖な場所とされていた。
俺は指定された場所に辿り着くと、そこにはすでにネルソンが儀式を行う為の準備を整えていた。
「予定より早いなゲイル」
いつものオドオドした様子が無いネルソン。
「ああ、いよいよだと思うと居ても立っても居られなくてな」
これは本心でもある。
本当にネロと再会できるのならばこんなに喜ばしい事はないのだから。
「そうか、では神壇に聖魔櫃を、そこの台座にはラー・ブレスカの神珠を置いてくれ」
「わかった」
俺は言われた通り聖魔櫃とラー・ブレスカの神珠を指定された場所へと設置する。
「あと、不壊の石板はここに嵌めてくれ」
ネルソンが指し示した神壇の足元付近には、四角い窪みがあり、不壊の石板はそこにピッタリと収まった。
「ん!?
俺がそう指摘すると、ネルソンはニヤリと笑い言った。
「あれは儀式の要で最後に必要になる。まあ見ていてくれ」
自信満々の雰囲気は四日前の時とは打って変わって別人のようだ。
「分かった。あと俺が手伝える事はあるか?」
「いや、大丈夫だ。これから起きる偉業をその目に焼き付けてくれ。フッハハハハ」
高笑いするネルソン。
本当に人が変わりすぎだ。
正直ネルソンの事などどうでも良いが、儀式はちゃんと成功させてもらいたい。
俺は一抹の不安を覚えながら儀式を見守る事にした。
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