第75話 ネルソン④
ようやく神壇の位置に目星が付いた。
そこはリンガミルの中心にあるカタコンベの最も良い古い階層。
古い文献を片っ端から調べまくってようやくたどり着いた。
どうやらこのリンガミル自体がカーリーン神を封じる為の牢獄になっていたようだ。
「それでゲイルは今万魔殿を攻略中なんだな」
「ああ、俺の助力を断って一人で挑んでいるガル」
私の所に情報を持ってきたデュランが答える。
「そうか、あそこを人の身で攻略は無理だろうからな、付いていかなくて正解だぞ」
万魔殿は、書物にも悪魔の潜む魔窟とあり、戻ってきたものがほぼいないため情報が少ない。デュランの実力では死にに行くようなものだ。
「そんな事はどうでも良いガル。それよりもゲイルがあの力を手に入れた方法を教えるガル」
デュランが突然私に接触してきた理由がこれだ。
昔から自己を超える高みを目指していたが、どうやらゲイルの強さを目の当たりにして触発されたらしい。
彼はゲイルが高みに至った経緯を俺が知っているのではないかと訪ねてきた。
当然、私がそんな事を知っているはずが無い。
ただ事実から推測は出来る。
だから、大した情報でも無かったが別に推論を語ることぐらいはサービスで構わないだろう。
「血の儀式を行い、亀裂に身を投じる。その先に力を得るための何かがあるのだろう」
これが事実であり、推測だ。
クラリスがやった血の儀式の生贄となりながら、亀裂にまで落ちてなを死ななかった。
なら、その亀裂の先に何かあるとしか思えない。
ただ何故ゲイルが助かったのかまでは知らないし、今はそんなことに興味も無い。
「なるほど分かったガル」
「デュラン。死ぬつもりか?」
私としてはデュランがどうなろうと知ったことではない。しかし今や祭壇は神像も破壊されまともに動くかも分からない、ハッキリ言って自殺行為だ。だから昔のよしみで一度だけ止めてやる
「あの境地に立つためにはそれも必要なんだろう、なら俺は命を掛けるガル」
しかしデュランはそう言って一人自滅の道へと進んで行く。一度止めたのだから最低限の義理は果たした。私はデュランの事を忘れることにした。
さあ、始めるのはカーリーン神の復活準備だ。
そして神冠を手にした時。
私こそが紛い物の神ではなく、本当の神となる事が出来るだろう。
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