第49話 アヴェル視点

 俺が必死に懇願しているのにも関わらずゲイルの野郎は聞く耳を持たない。


 どうしてだ。

 クラリスの事を愛していたんじゃないのか?


 クラリスだってあんなに……それこそ、いなくなってなお、お前に焦がれ続けていたのに。


 たかだか三年で気持ちが離れるほど軽い想いだったのかと問いただしてみたが、意に介さずゲイルは首を縦に振ろうとはしない。


 本当にクラリスの事など何とも思っていないかのような態度に、段々と怒りがこみ上げてくる。


 俺はそれでもゲイルに訴え掛けた。


「クラリスは今でもお前の事を愛している」と。


 俺が最も認めたくない気持ちまで代弁してまで。

 それなのにあいつは。


「もう、過去の事だ。俺は何とも思っていない。明日の試合はあくまでついでだ」


 なんて事を言いやがった。

 そんなの余りにクラリスが惨めじゃないか。

 そしてそんなクラリスに懸想している俺はもっと……。


 言いしれない感情が頭の中をグチャグチャにする。

 気が付くと俺は、激情のままにゲイルに殴り掛かっていた。


 しかし、ゲイルは難なく俺の拳を紙一重で躱すと、手痛いカウンターを俺の頬に叩き込んできた。


 だが俺もガーディアン。守りを主体としたクラスだ。拳ひとつで沈んだりしない。


 俺は殴られた勢いをものともせず体ごとゲイルにぶち当たりに掛かる。

 このまま壁に叩き付ければ肋の二、三本はもっていけるだろう。

 そうすれば明日の試合も……。

 そんな俺の思案を嘲笑うように、ゲイルはひらりと見をよじり、渾身の体当たりを躱す。

 直後、後頭部に重い一撃を食らうと、クラクラと世界が揺れて意識を失った。



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読んで頂きありがとうございます。

評価をしていただいた方には感謝を。


初めて長編のコンテストに応募します。


読んで頂けたら嬉しいです。


《タイトル》

『ダンジョンエクスプロード 〜嵌められたJKは漆黒宰相とダンジョンで邂逅し成り上がる〜』


https://kakuyomu.jp/works/16817330664753090830



こちらも引き続き応援してくれると嬉しいです。

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もちろん率直な評価として☆でも☆☆でも構いませんので宜しくお願いします。

  

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