閑話 アヴェル④

 冒険者の間で変な噂が流れ出した。


 ゲイルが戻ってきたと。

 理由はもちろん復讐。


 幸いまだクラリスの耳には入っていない。

 仮に入ったとしてもあり得ないと一蹴するだろうが。


 ただ火のないところにはと言うように、嫌な不安を覚えた。なので当事者の一人でもあるネルソンに相談した。


 驚いたことに、ネルソンは噂を信じているのか、わかり易いほど狼狽した。


 すぐに何かあったのかと問い直すと。


 すぐに落ち着きを取り戻して「あり得ない」と俺の期待する返事をくれた。


 ただ気になるので調べては見るそうだ。


 その後ネルソンが調べてくれている合間も、噂は立ち消える事なく燻り続けた。


 どこぞこで見かけた。なにがしの通りを歩いていた。不明瞭で朧げな情報。

 それが逆に気持ち悪かった。


 いるはずの無い人間がまるで生きているかのように噂され、生きているように扱われる。


 しまいにはクラリスの耳にも入ったようで、俺に笑いながら話しかけてきた。


「あはっ、ゲイルって生きてるらしいよ」


 気持ち悪いほど満面の笑みで。


 俺はいたたまれなくなり、あいつの影を払拭したくて久しぶりにクラリスを抱いた。


 あいつはまるで人形のように反応することなくただ俺に成されるがまま。

 事が終われば「満足した?」そう言って何もなかったかのように帰っていった。


 あれほど帰るのを嫌がっていたゲイルと一緒に住んでいた借家へと。





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読んで頂きありがとうございます。

評価をしていただいた方には感謝を。


続きを書くモチベーションにも繋がりますので

面白いと思っていたけたらた


☆☆☆評価を頂けると泣いて喜びます。


もちろん率直な評価として☆でも☆☆でも構いませんので宜しくお願いします。

 


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