閑話 ネルソン①

 真夜中。枕元で声がした。


 驚くべきことに声の主は自分のことをゲイルと名乗った。


 あり得ない男の名だ。


 彼は私の進言を受けたクラリスがカーリーン神の生贄に捧げたのだから。

 文献通りクラリスが狂夜叉ダキニのクラスを得ている事からも儀式が成功したのは間違いない。


 ならば死者の怨霊か、今更ながら私を呪いに来たのかと疑ったが、どう見ても生の感じられない死者の声ではない。


 ならば考えられるのは何らかの理由で生きていて復讐に来た。


 そう考えるのが一番辻褄が合う。


 私は拷問され殺されるのだろうか?

 頭に死がよぎる。


 しかし、ゲイルは私を今殺すことはなかった。どうやら私にまだ利用価値があると判断したらしくカーリーン神について尋ねてきた。


 ダキニに関する文献を調べた際、破壊の女神というのは知っていたが、彼の言う封印についての記載は無かったのを思い出す。


 ここで素直に知らないと言えば、役立たずとして消されるかもしれない。


 彼の怒りを逸らす為には、役に立つと思わさなければならない。


 私はあえて知っている素振りをし、調べる時間を稼ぐ事に成功した。


 猶予は七日貰おうとしたがあからさまに不機嫌そうに私を睨んできた。私は恐怖に屈して三日でなんとかすると答えてしまった。

 それまでにカーリーン神について徹底的に調べなければ命は無いだろう。


 頭の片隅に、アヴェルへ相談して対処することも考えたが、藪蛇になるのは避けたい。復讐するなら本命はクラリスとアヴェルだろうから。

 今彼ら側に付くということは、簡単に寝室に侵入された事から、いつ寝首をかかれるか分からない。


 私はまだ目的を果たせぬままに死ぬわけにはいかない。そのためには何としても彼の納得いく情報を得なければ。


 私は再び寝る余裕などなく調査を開始した。




――――――――――――――――――――


読んで頂きありがとうございます。

評価をしていただいた方には感謝を。


続きを書くモチベーションにも繋がりますので

面白いと思っていたけたらた


☆☆☆評価を頂けると泣いて喜びます。


もちろん率直な評価として☆でも☆☆でも構いませんので宜しくお願いします。

 

あと、ストックが無くなりかけて来たので明日から12時頃の一話づつの配信に切り替えます。


楽しみにしている方には申し訳ないですが、今後とも宜しくお願いします。 

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