第31話

 ネロの祭壇を出た後は、自分自身の実力を確認するためそのまま迷宮の探索に向かった。


 常世を出たのでネロの眷属としての力は失っていたが、積み上げてきた力は失われていない。


 あれほど苦労していた階層の敵を難なく屠るとさらに下層へと向う。


 しばらく下層の敵を相手にして分かったことは、圧倒的な力の差。

 当然といえば当然なのかもしれない。

 なにせ俺は破壊を司る女神と対等に戦える実力を身に着けているのだから。

 おそらく時間さえ掛ければ最下層にも到達できるだろう。


 だが、生憎と俺の目的はそこじゃない。


 だから今は当面の資金調達も兼ねて素材とアイテム収集に励む。

 ある程度目処が立ったところで、俺はいったんリンガミルに戻ることにした。


 しかし、そこであることを思い出す。

 そう帰還石を持っていない事に、もちろん転移石も持っていないのでマーキングも出来ない為、この場所にも戻ってこれない。


『しかたない』


 俺は面倒だなと思いつつ、地道に上層階を目指して迷宮を駆け上る事にした。

 


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