閑話 アヴェル③

 ゲイルを犠牲に力を得たクラリス。


 当初は悲しみにくれ精神的にも不安な時期があったが、自分の中でケリをつけたのか、次第に立ち直ると圧倒的な強さを見せ始めた。


 攻撃面では以前より苛烈に、問題点が多かった防御面もまるで別人のように改善していた。


 俺との関係はといえば、最初は慰めの関係から、今はなんというか……情けない事に俺の方が惚れてしまっていた。

 まさに狩人罠に掛かるというやつだ。


 ただ今あいつの、クラリスの瞳には俺なんかは写っていない。彼女の目には剣神の座とその先に垣間見えるゲイルだけ。


 なんてことはない、ゲイルが死んでもあいつの中で最高の剣士はゲイルだった。


 そして、それを証明する為にも剣神の座を求め続けている。

 それは鬼気迫る程に。


 その苛烈な姿から剣聖ならぬ剣鬼とまで呼ばれるほどだ。


 俺の使命的にはその方が都合が良かったはずなのに……いつしか俺はそれを危ういと感じ、何度も諫めた。


 だが、あいつに俺の声は届かない。

 確かに以前のような精神的な弱さは無くなった、無くなったが常に張り詰めているような緊張感。


 薄刃の剣は切れ味は良いが折れやすい。


 彼女の心はいつ壊れてもおかしくないように見えて、だが俺の言葉ではどうする事も出来ない。

 もし仮に彼女が聞く耳を持つとすればゲイルくらいなものだろう。そして俺はそんな状況から、もういないはずのゲイルに嫉妬する情けない感情を鬱積させていた。


 



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読んで頂きありがとうございます。

評価をしていただいた方には感謝を。


初めて長編のコンテストに応募します。


読んで頂けたら嬉しいです。


《タイトル》

『ダンジョンエクスプロード 〜嵌められたJKは漆黒宰相とダンジョンで邂逅し成り上がる〜』


https://kakuyomu.jp/works/16817330664753090830


こちらも引き続き応援してくれると嬉しいです。

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☆☆☆評価を頂けると泣いて喜びます。


もちろん率直な評価として☆でも☆☆でも構いませんので宜しくお願いします。

  

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