第26話

 ネロから問われた言葉。


 その答え。いま、俺が望むもの渇望するのは。


「強くなりたい」


 そう力だ。


「なるほど、なるほど。で? どんな強さが望みだ。戦う力か、何者にも屈することの無い精神力か、魔術を自在に操る知識か、それとも世界を統べる事も出来る圧倒的なカリスマなんてものもあるな」


 ネロから言われるまで、強さの質なんて考えたことも無かった。


 俺にはノートンが示してくれた剣の道しか無かったから。でも、その道にはクラリスも居て、俺がクラリスの妨げになるわけにはいかなくて……。


 ああ、だから俺はここに居るのか。


 唐突に何かがストンと胸の中に落ちた。



「……俺は、俺が持てうる全ての力が欲しい」


「ふっ、フハッハッ。ただのお人好しかと思えば、なんて傲慢な奴だ。いいぞ、良い退屈凌ぎになりそうだな。ゲイルお前の願い、このわらわ――ネロ・カーリーンが叶えてやろうぞ」 


 ネロは笑って俺を見ると、言葉の意味を示すかのように力の一端を溢れさせた。


 それは感じたことの無い、圧倒的な力の差。彼女が自身を神と言っていた言葉を初めて実感する。


「すごいな」


 率直な感想がこぼれでる。

 それと共に、彼女なら俺をより高みへと導いてくれるだろうと直感が告げる。


「おいおい、そこは普通の人間なら萎縮して恐れ慄くところだぞ、笑うところではないのだがな……くくっ、本当にゲイル、お前はな」


 どうやら俺は知らない内に笑みを浮かべていたらしい。

 本来なら恋人に裏切られ、生贄にされ、死にかけと言うのに、俺の中には強くなれると言う喜びの方が勝っていた。




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読んで頂きありがとうございます。

評価をしていただいた方には感謝を。


続きを書くモチベーションにも繋がりますので

面白いと思っていたけたらた


☆☆☆評価を頂けると泣いて喜びます。


もちろん率直な評価として☆でも☆☆でも構いませんので宜しくお願いします。

 


短編の前編公開しました。

読んで頂けると嬉しいです。


タイトル

『幼馴染を◯してしまいました』


https://kakuyomu.jp/works/16818093075061515150

 


 

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