第24話
あの後、ネロは詳しく話をしてくれた。
ネロが封印された後もエルフから恐れられ、神として祀つられるようになった歴史や、神としての力、すなわち権能と呼ばれる力が『破壊』を司る事など色々と。
そして俺がなぜここに来れたのかも。
「まあ、なんだゲイル。お前は生贄に捧げられたのだよ」
その言葉の意味から泣いていたクラリスの顔が思い浮かぶ。
「そうか」
「なんだ怒らないのか? わらわの力を得るために自分が犠牲にされたのだぞ」
怒り、なぜかその感情は沸かなかった。
あるのは無力感と喪失感。
俺は力の無さからまた大切な者を失ったのだという事実だけ。
クラリスがずっとより高みに至るための力を望んでいたことを知っていた。
でも、俺ではそこに導いてやれる事が出来なかった。俺自身も弱かったから……だから弱い俺はクラリスの側に居続ける事が出来なかったニーナと同じ様に……。
「それでクラリスは力を手に入れたのか?」
「ああ、強者を贄に捧げたのだから、その者はわらわの力の一端を手にしただろうさ。あれはそういう仕組みだからな」
「そうか、なら良かった」
口から自然と安堵の言葉が出る。
俺を贄に捧げておいて力を得ることが出来なければクラリスの事だから自害していたかもしれないからだ。それでは俺の犠牲が無駄になってしまう。
「……おかしな奴だな。自分を犠牲にした者の行く末まで憂いてやるなど、お人好しが過ぎて気持ち悪いぞ」
嫌そうな顔で俺を見るネロ。
きっとネロの言葉のほうが正しい感情なのかもしれない。
だが、やはり俺には怒りも恨みも無い。ただ憂いが愛情から来ているのかと言われれば違うと答えだろう。
俺は自分が犠牲になった事が無駄にならなかった事に安堵している。それは多少なりとも俺自身に存在価値があったのだということを示しているのだから。
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読んで頂きありがとうございます。
評価をしていただいた方には感謝を。
続きを書くモチベーションにも繋がりますので
面白いと思っていたけたらた
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もちろん率直な評価として☆でも☆☆でも構いませんので宜しくお願いします。
短編の前編公開しました。
読んで頂けると嬉しいです。
タイトル
『幼馴染を◯してしまいました』
https://kakuyomu.jp/works/16818093075061515150
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