第4話

 俺がノートンの元に来てからさらに数年、最近ではクエストの殆どは俺とクラリスで受けていた。

 この頃にはお互いの息も合って並の相手には苦戦すらしなくなっていた。


 ノートンはたまに俺達の剣の指南を軽くする程度で実戦からは遠ざかっていた。

 さらに体調を崩して床に伏せる事が多くなった。


 クラリスが医者に見せたが、治療法の無い病でもう長くないらしい。


 死期を悟ったノートンは俺とクラリスの試練を課した。


 一対一で戦い、勝った方に剣聖の座を譲ると言うもの。


 正直、剣聖と言うものが何かも分かっていなかった。

 ただクラリスは並々ならない意欲を見せていたのは気配で見て取れた。


 だからだろう。


 試合の中でクラリスが勝負を決めに掛かった八連撃。

 俺はそれを往なしてカウンターを打ち込む事も出来た。しかし悲しむクラリスの顔が頭に浮かんで返す事が出来なかった。


 結果、勝負はクラリスが勝った。


 ノートンは複雑な表情で、クラリスに剣聖の証。

彼がいつも身に付けていた古いアミュレットを譲り渡した。


 俺には目録替わりだと言って一振りの剣をくれた。

 ノートン曰く、先の先に特化した代物で守りの剣を極めた時に抜けと言われた。

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