鉈。

石窯パリサク

たまらん

 でかい鉈さ。

ドラゴンでもある。


 振り上げ、力の限りで振り下ろした。

根性を見せまくったよ。

何度もな~。


 ようやく鱗にひびが入り皮膚に到達した。


 こんどは肉の強靭さに跳ね返されてな。


 苦労したよ?


 鉈は刃こぼれしない代わりに何度もびんびんと跳ね返されるしで、徒労感が心を侵食しそうだったさ。


 こいつの肉は不壊かよ?


 もうやめようかと思いつつ、改めまして鉈の刃を研ぎに研いだ。

海沿いの町で過ごした頃に身に着けた研ぎだぞ。親方達も認めてくれてなー、俺が研いだ剣鉈で、鉄のゴーレムもスッパスパと輪切りにしてやったものさ。


 おろしたての包丁並みに刃を立てて、こう、シュっと押しては引いてみたけども、結局体重をがっちり乗せながらも正しく筋肉の繊維に沿って刃を動かしてみるまで一筋も筋肉に傷が入らなかった。


 こうして、筋肉繊維の目を丁寧に読み取りながらも、目一杯がんがん切り裂き掘り進んでいけるようになったのさ!


 ようやくペースを掴んだ!ノリノリになって思い切り体重をかけてやってやった!

 「ひゃほー!・・・・・・・ふざくんな。」

切り出せない。


 すだれのような、なんと言うか、縦線だけの切れ込みが並ぶだけで、せめて細切りになれば良いかと欲を出したけど、筋肉繊維の目に沿って切り込む以外受付ないの、ほんの小指の幅くらいの太さで断ち切って、ちょっとした肉片として切取れればいいのにさ。

せっかく狩ったのだが食べられないのか?たまらんわい。


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鉈。 石窯パリサク @CobaltPudding

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