第4話 驚かれた。
俺の対応をしてくれるのは年老いたモノクルの老人だった。
老人が口を開いた。
「お客様がお持ちしたものですが何かはご存知でしょうか?」
そう言われて俺は答えた。
「ま、魔王石じゃろ?そんなものそこら辺に落ちとるはずじゃ」
尋問されてるような気がして思わず素の口調が出てしまったわい。
しかし、何でこんな石ころでこんな尋問じみたことをされなくてはならんのだ?
で、室内を見たら兵士がザワザワしだした。
会話に耳をすませる。
「お前魔王石なんて見たことあるか?」
「いや、ないぞ。本物は初めて見た」
「だ、だよな。だから俺もあれを見せられた時は意味が分からなかったんだ。それで盗品かと思って」
「盗品だった場合はやばいもんなぁ。あの石」
俺はモノクルの爺さんに聞いてみた。
「やばいものなのか?それは」
「現在この石は世界中で最高級品として扱われています」
「た、ただの石だろ?!」
叫んだ。
だってこんな石そこら辺に落ちてたんだもん。
日本でさ、そのへんに落ちてる石ころ拾って、それを渡したようなもの!
それでこんな仰々しい反応をされたらたまったものではない!
「最高級品なわけないだろ?魔王石が!」
こんなんが最高級品になるなんてありえない!
いや、ほんとに!
だがモノクルは言った。
「こちら、本当に貢ぎ物としても宜しいのですか?」
「うぐ……」
そう言われて俺は返してもらった。
他に出せるもの……と言えば。
(そうじゃ。あれがあった。数十年前に作ったポーションが。その辺の雑草で作ったものだ!これならまだまだ在庫はあるし。出してみよう!)
それを思い出して俺はアイテムポーチからポーションを取りだして机の上に置いた。
また部屋がざわつき出した。
「こ、これは!」
「間違いない!最高級品質のポーションだ?!あのSSSSSSSSランクの薬草【ナオルソウ】によって作られた王族専用のポーションだ!」
「最後に存在が確認されたのは数十年前のものだ!」
モノクルも言った。
「こ、こんな高級品を貢ぎ物にしてよろしいのですか?」
俺は頷いた。
なんか、この調子だと何を出しても驚かされそうな気がした。
「え、あ、うん。もうそれでいいよ」
「では、こちらを貢ぎ物とさせていただきます」
そう言ったモノクル。
そのまま俺は王都の中へと招かれることになった。
俺はウルフを連れていたのだが。
ザワザワ。
「なに?あのワンチャンちょーかわいー」
「もふもふよ!」
「しかも飼い主もすごくイケメン!」
「ワンチャンの方は飼い主に似たんでしょうねー」
みたいな話し声が聞こえてきて俺はウルフに言った。
「ミニマム」
「がる(頷く)」
みるみるウチに小さくなっていくウルフ。
そしてタッタッタッと走って俺の体をよじ登って胸ポケットに納まった。
「なに?!あのちょーかわいい生き物!縮んだ!」
「もふもふな上に小さくもなれるなんて反則じゃん!」
みたいな声が聞こえてきたので目立ちたくないし俺は足早にこの場を去っていくことにした。
(ふぅ、魔獣化を解除させておいてよかったわい。このサイズ変更にも魔力を使うからな)
消費させておいたらこんなバカでかいウルフを連れて街中を歩くことになっていたわい。
そうして歩いていた時だった。
広場に差し掛かった。
その時だった。
「だ、誰か?!引ったくりを止めてください!」
そんな声が聞こえた。
それと同時にタッタッタッと走ってくる音。
そちらに目を向けると、
(アイテムポーチをひったくられたか)
ひとりの男がこちらに向かって走ってきていた。
そして俺と目が合った。
「どけどけ!怪我したくねぇだろ?!」
ナイフを抜いて俺に襲いかかってこようとする。
「まったく最近の若いのは」
俺はそう言ってその場で棒立ち。
すると男は
「ちっ!」
俺の横を通り抜けようとしたので足を突き出して引っ掛けた。
「あがっ!」
前につんのめる男。
それから体をこっちに向けて
「おらっ!」
ナイフを突き出してきたがそれを避けて拘束した。
「は、離せ!てか、なんだこの力は!」
そう言ってる男の腕に向かって呟いた。
【
時が止まったように腕と足だけがその場に固定される。
「な、なんだこれ!動かねぇ!」
そう言ってる男に俺は言った。
「時間固定さ。お前はここから動けない。俺がこの魔法を解除するまでね」
そう言ってるとタッタッタッと、被害者が走ってきた。
「はぁはぁ、すみませんありがとうござい……」
そう言って俺の顔を見てきて。
俺と女の子は同時に声を上げた。
「「あっ」」
女の子、いや令嬢がこう言ってきた。
「ま、またお会いしましたね!この帝国に来ていたんですね」
正直もう会うことはないだろうと思っていたが、こんなに早く再開するなんて。
現実は信じられないことも起こるものじゃのう。
俺がそう思っていたら令嬢は言ってきた。
「2度も助けていただきありがとうございます!ぜひ、お礼をさせていただけませんでしょうか?」
「お礼?別にいいんだが」
そう言ってみたら彼女は首を横に振ってこう言った。
「いえ、ぜひ、させて欲しいのですが。も、もちろん嫌ならいいんですけど。欲しいものとかあるか分かりませんが、なんでも言うことは聞きます!」
まったく最近の若者はなにかあれば直ぐに何でも言う事聞きます、か。
「まぁいいじゃろ」
俺はそう言って令嬢の世話になることにした。
いろいろと聞きたいこともあるしのう。
ここがどの年代なのか
俺が知っている時代なのか
とかね。
ラストラグナロクはシリーズもののゲームである。
俺が転生したのは初代の世界だったがそこから次のナンバリングの年代に飛んだという話も有り得る。
それなら、原作知識を使えるからのう
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