知ってた(白目


 キャラクターを守るために色々と裏で頑張っていることをばらされたちょっと可哀想な奴、ランスロットに何故か認めれたりとありつつも俺達は正式に国際の場に出ることとなった。


 各国が並び、円を囲む中で、俺は今回USA(アメリカ)大統領アーリの隣に座っている。


 もちろん、この場に入れるのは通訳ぐらい。


 というわけで、俺はレミヤを連れて入ってきているのだ。


 やったねレミヤ。お前は今日から国際デビューだ。今日のテレビが楽しみだよ。


 尚、今回連れてきていない仲間達は近くの店で万が一の時のために待機している。護衛のためという名目の元、ただ遊んでいるだけだがまぁいいだろう。


 いつも仕事は真面目にやってくれているしな。たまにはゆっくり息抜きしてくれ。


 今頃アリカ辺りにみんな和んでいるんだろうなぁ........羨ましい。


 そう思いながらぼけーっと会議の話を聞いていく。


 まずは挨拶。そして今回の議題について。


 第三次世界大戦における被害や、その原因など、色々な話が始まった。


 が、正直学校の朝の会、帰りの会と対して変わらない。


 これはただの連絡事項であり、具体的な対策については一切上がらなかった。


 まだ中学生の方が色々と考えて動いてそうなレベルだ。


 いや、俺が元いた地球でももう少し価値のある議論をしていただろう。


 この世界は、兎に角自国のことで手一杯な国が多い。


 日本はかなり恵まれているが、大体の場合はダンジョンに戦力や金のリソースを持っていかれてそれどころでは無いだ。


 そして大国の殆ども中小国の現状を知っているから、下手に圧力をかけない。


 自分たちも大変ですよーってフリをして、中小国と同じように振る舞うことで他を動きやすくしているのだ。


 日本帝国はどうかって?


 世界樹の加護によりにカゴの範囲内にダンジョンが出てくることは無い。つまり、日本帝国はこの世界で唯一、ダンジョンによる被害を心配しなくても良いのだ。


 五大ダンジョンを真の意味でクリアした俺たちだからこそ許される特権。ダンジョンへの対策に予算をさかなくていいから、好き勝手に発展できる。


 しかも、発展した後に破壊される心配もない。


 あれ?日本って世界でいちばん安全な国なのでは?


主人マスターそろそろ私達の議題かと。挨拶は考えてますか?」

「なんにも考えてない。どうせ当たり障りのないことを言うだけだしな」


 そんなこんな議会と言う名の報告会が続いた後、ついに俺の番がやってくる。


 あぁ、帰りてぇ。


 なんで俺はこんな場所にたっているんだ。いつから俺は世界を代表する1人になってしまったのか........


 うーん。この世界に来て三日目辺りから全部狂ってたな。


 何もかもが滅茶苦茶だ。


 しかし、過ぎた過去に戻れる訳でもない。俺は、腹を括るしかないのだ。


「それでは、次の議題です。皆様ご存知かと思いますが、未認証国家である日本帝国についてです。かの国は五大ダンジョン“エルフの森”を攻略し、第一次ダンジョン戦争において滅びた日本の再建をいたしました。私、本来あった国の再建をしたこの国を国家とした容認し、この世界をよりよくするための一国家として迎え入れたいと思っております」


 隣でアーリちゃんが頑張っている。


 頑張れ配信者大統領。みんな応援しているぞ。


 ちなみに、この議会歯生中継されている。レミヤ曰く、いつもならば数百人程度しか見ていないはずなのだが、アーリが大統領になってから視聴率がバク上がり。


 今ではなんと数万人規模の人々がこの国際会議を見ているそうだ。


 アーリちゃんってすげー。


「────それでは、日本帝国代表のミスターグレイに挨拶していただきましょう。お願いします」


 そんなことを思っていると、俺に出番が回ってくる。


 何を言えばいいのかさっぱりだが、とりあえず無難な挨拶だけしておくか。


「あー、初めまして各国の代表方、並びにこの中継を見ている同胞達。紹介に預かったグレイだ」


 おー視線が怖い怖い。


 アジア圏の代表、そしてアフリカ圏の代表はどちらかと言えば好意的な視線を向けている。


 アジア圏は俺に借りがあるし、中国の支配から逃れられたという恩を感じている。


 その後俺が干渉するとかないもんな。ご自由にどうぞってスタンスだし。


 そしてアフリカ圏の国々は、おそらくEGY(エジプト)の大統領が“とりあえず友好的にしておけ”とでも言っているに違いない。


 そして、アーリは言わずもがな。


 だが、メキシコやヨーロッパ諸国は違う。


 ブリテンとPOL(ポーランド)そして、DEU(ドイツ)、の代表以外は今にも俺を殺しそうな顔をしていた。


 あ、セルビアは?と思うかも知れないが、彼らは戦争に勝利した後ユーゴスラビアを再建したので今は国家として認証されていなかったりする。


 だからこの場には呼ばれていない。


 勝ったよ!!っていう報告は受け取っていたのだが、まさか国連の場に呼ばれないとは。


 悲しい奴らである。


 まぁ、彼らは一応俺の傘下組織に当たることとなるし、面倒は見てやるとしよう。


 と言うか、よく勝てたな。正直負けると思ってたぞ。


 さて、話を戻すが、俺はヨーロッパ諸国から滅茶苦茶嫌われている。


 当たり前だ。特にFR(フランス)の代表なんかは今にも俺を殺しそうな視線を送ってきている。


 やぁ、死にかけの大国さん。気分はどう?


 マルセイユをぶっ飛ばされ、パリも蒸発させられたFR。唯一残っているのは、数少ない人々と何も無い大地ぐらいだ。


「今回このような場にお招きしてくださった皆様には感謝している。この日本帝国も世界の一員として人類の発展に貢献できるよう、尽力していきたいと思っている。以上だ」


 この場に呼ばれた時点で、日本帝国は国際的な力を持つという証明になっている。


 たとえ未認可の国であったとしても、この場所に呼ばれていること自体が既に成果なのだ。


 よって、この先の結果はあまり関係ない。


 とりあえずは適当に挨拶を済ませた俺は、突き刺さる視線を気にすることなくマイクを置いた。


「当たり障りのない挨拶ですね」

「当たり前だろ。俺をなんだと思ってんだ。なんだ?あのマイクを持ってCreeping Deathでも歌えってか」

主人マスターがメタリカなんて歌った日には、全世界が笑い焦げますよ。主人マスターの声質は、メタルには会いません」

「何が会うと思う?」

「バラード系ですかね?声が優しすぎますし」


 褒めてる?貶してる?


 どっちか分からないその言葉に半笑いを浮かべながら、俺は進む議題に耳を傾け─────


 ドガァァァァァァァァァン!!


 ─────どこかが爆発した。


 うん。まぁ、そんな気はしていたよ。


 このまま平和に終わるとは思ってなかったからね。


 で、どこのどいつだ?全世界に喧嘩を売ろうとしたバカは。




【メタリカ】

 ジョジョの奇妙な冒険第5部に出てくる........じゃなくて、アメリカ合衆国出身のヘヴィメタル・バンド。

 1981年に同国西海岸にて結成。2019年までにアルバム総売上枚数が世界中で1億2000万枚を記録するなど、世界的に最も成功を収めたメタルバンドとして知られる。

『グラミー賞』8回受賞(18回ノミネート)。2009年『ロックの殿堂』入り。ローリング・ストーン誌選出「歴史上最も偉大な100組のアーティスト」第61位。同読者選出「最高のメタル・バンド ベスト10」第1位。ウォール・ストリート・ジャーナルの「史上最も人気のある100のロックバンド」8位。

 同時期にデビューしたメガデス、アンスラックス、スレイヤーと共にスラッシュメタル"BIG4"と形容された一角として君臨している。

 日本だとどちらかと言えば某スタンドとしての方が有名かもしれない。




 グレイが各国の代表に挨拶する少し前。


 そこには、この時を待っていたテロリストたちがいた。


「我々がこの世界を支配するのだ。故に、現体制の支配者達は排除する」

「領主様。準備が整いました。既に一階には多数の爆弾を仕掛けてあります」

「よし。それでは行くぞ」


 彼らの名は“世界の再構築者リロード”。


 現体制の世界を破壊し、新たなる秩序によって世界を統治することを目論む思想犯である。


 腐敗した政治家がいる中、貧困に喘ぐ人々がどれほどいるのだろうか。


 彼らはそれを知っている。


 だからこそ、今の世界を作り変えなければならないのだ。


 その考えには多くのものが賛同し、中には今回の国連の警備を任されたものもいる。


 そう。最初から彼らは全世界への宣戦布告ができる切符を手にしていたのだ。


「今日、この日、世界は変わる!!我々の偉大なる世界の再構築を始めるのだ!!」


 かくして、世界の再構築は始まった。


「なぁ、なんか変な集団が居ないか?」

「しっ!!ダメですよアリカちゃん。あぁいう頭のイカれた連中を見てしまっては、アリカちゃんが穢れてしまいます。せっかくのお休みなんですから、気にしないようにしましょう。あ、メロンクリームソーダ飲みます?」

「いや、あれどう見てもテロの類じゃね?なんか装備してるんだけど」

「わかってないなぁ。グレイちゃんがテロの情報を掴んでないと思う?要は、私たちの出番はないんだよ。万が一の時のために配置されているだけなの」

「フォッフォッフォ。ならばワシらはゆっくりとするかの。ところで、このピザ半分、誰か食ってくれんかのぉ。さすがに重いわい」

「おじいさんは少食ねん。私が食べてあげるわよん」

「フォッフォッフォ。助かる」

「まぁ、ボスがわかってないはずもないしいいのか?」


 そして、既に運命も決まっている。


 彼らは知っておくべきであった。今回の国連に参加しているのは、英雄王と神のごとき人間がいるのだと。





 後書き。

 いつもの。

 グレイ君は歩く厄災。多分ケテルのお爺ちゃんの正体コイツだよ。

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