神をも喰らう


 シャークネード発生!!シャークネード発生!!


 B級映画にしか出てこないはずの気象現象シャークネード。


 一応知らない人のために言っておくと、シャークネードとはシャーク(サメ)とトルネード(竜巻)を合わせた造語である。


 どんな現象なのかと言われれば、サメと竜巻を合わせた現象。


 つまり、竜巻によって巻き上げられたサメ達が、全てを喰らい尽くす現象なのだ。


 B級映画だから許される設定。まだインディペンデンスデイのように空から宇宙人が降ってくる方が可能性高そう。


 そんな本来ならばありえないはずの自然現象が、何故か巻き起こってしまっていた。


 もう終わりだよこの世界。


 灰色の竜巻の中に見える黒い影。あれは、世界の全てを刈り取る悪魔だ。


 自然現象にしてはあまりにも不自然。これは予想でしかないが、ウチの群体のどっかの誰かがやらかしているに違いない。


「みんな、ずらかるぞ。そこにいる老害共を背負ってな」

「トルネードはUSA(アメリカ)に住んでいた時はよく見たが、あんなに馬鹿でかいのは初めて見たな。なんだあれ。自然で発生するトルネードとは規模が違いすぎるぞ」

「魔力反応が感じられます。おそらくですが、どこかの部隊........もとい、エルフの手によって放たれたものかと」

「さすがにあれを防ぐのは無理ですよボス。と言うか、なんかサメちゃん達もいませんか?」


 はるか遠くから迫り来る竜巻。そのスピードは凄まじく、こうしている間にも竜巻はぐんぐんと大きくなっていく。


 あれに飲み込まれたらさすがに死ぬ。ピギーを使えば簡単に消せるだろうが、中にいるサメちゃん達にまで被害が出そうなのが怖いしな。


 よし、さっさと逃げよう。そうしよう。


 という事で、俺達は即座に避難を開始した。


 リィズ達は多分竜巻に飲み込まれる程度では死なないだろうし、やばそうなら自分達の判断で逃げてくれるだろう。


 俺たちよりも逃げ足も早いしな。


 という訳で、逃げるんだよスモーキー!!


 俺達は老害共を連れて、さっさと逃げる。


 機械仕掛けの神は、自分の周りにまとわりつくリィズ達以外に興味が無いのか、とくに反応を示すことは無かった。


 それから数分後、シャークネードがバチカンにやってくる。


 周囲の建物を破壊し尽くしやってきたトルネード。竜巻は建物に当たると進路を変えるみたいな話を聞いたこともあったが、あれは嘘だな。


 だって全部破壊してるし。


「逃げるよ」

「了解よん」

「フォッフォッフォ。切っても良いが、主のお気に入りがおるのでのぉ。ワシも退散するとするわい」

「あ、ちょっと待って!!ローズ!!俺を担いでくれ!!」


 リィズ達もギリギリで戦って待避。機械仕掛けの神はそれなりの傷を負っていたが、まだまだ元気そうであった。


 まぁ、リィズは切り札を出てないし、おじいちゃんも楽しんでたっぽいし、ローズは後半からスイッチが入るタイプだし、そんなもんか。


 ジルハードだけは多分本気でやってる。上位のSランクハンター達の戦いについて来れていただけで普通にすごいけど見劣りしてしまうのは仕方がない。


 そして、シャークネードがやってくる。


「ゴフー!!」


 ここまで移動してくる間にさらに大きくなったのか、その竜巻はムーア竜巻を超えるレベルの規模になっていた。


 そこからの戦いは、神話の世界であった。


 元々規模が馬鹿げているサメちゃん達が神を食らい、機械仕掛けの神は反撃しようとする。


 しかし、レーザービームは竜巻に弾かれ、竜巻の中に飲まれて消えてゆく。


 外からそれを観察するのは難しかったが、無い部の生体反応を探っていたレミヤによれば、機械仕掛けの神の反撃をサメちゃん達は器用に交わして全てを食らいつくしていたらしい。


 その姿、正しく神喰らい。


 神をも殺したサメたちによる鎮魂歌。


 人の手によって作られた神は、自然現象(違う)によって破壊され、サメちゃん達によって喰われたのだ。


「........サメちゃん、強くね?」

「今度からサメさんって呼ぶっす」

「普段はあんなに友好的で愛嬌もあると言うのに、いざという時はこんなに強いんだな。私の毒に意味は無かったか」

「凄まじいですね。と言うか、サメに食われる神って........っぷ!!神じゃなくて紙の間違いだったんですかね?」


 こうして、人の手によって作られた機械仕掛けの神は、サメちゃん達によって跡形もなく破壊された。


 そりゃ日本海軍は強いわけだ。だって神ですら勝てないのだから。


 サメちゃん強いぞやったー!!である。


 可愛いし強い。最強かよ。


「さてと、後はこっちを片付けて残りを処分するだけだ。アリカ。準備をよろしく」

「既にそっちはできている。何時でもいいぞ」


 その後、ITA(イタリア)と言う古代より歴史ある国は滅びた。


 世界遺産も、キリスト教の総本山も、何もかもが消え去ったのだ。


 後日、戦後の状況を確認しにしたオーストリア軍によって発見できたのは、グズグズになった腐った肉の塊と、そこに突き刺された白旗。


 そして、全てが焼け野原となったただの大地があっただけである。


 なぁ、ルーベルト。お前のいた場所にも鎮魂歌は届いたか?


 いつの日か、俺もそっちに行く。その時は、この曲の感想でも聞かせてくれよ。




【ムーア竜巻】

 現地時間2013年5月20日14時45分に発生した、アメリカ合衆国オクラホマ州の竜巻による災害。最大風速94m/s (210mph) に達するこの竜巻は、改良藤田スケールで最高レベルのEF5に達する巨大なものであった。竜巻はオクラホマ州中央部、オクラホマシティ南郊の都市ムーアを直撃し、少なくとも24人の死者と240人の負傷者を出した大災害となった。

 ちなみに、風速94は大抵のものが吹っ飛んで鉄骨とかもへし折れるレベル。風だけで鉄が曲がるのだ。




 1.名無しの神

【サメちゃん可愛いやったー!!】みんなのアイドルサメちゃん、遂に神をも喰らう


 2.名無しの神

 サメちゃん可愛いやったー!!


 3.名無しの神

 サメちゃん可愛いやったー!!


 4.名無しの神

 サメちゃん可愛いやったー!!


 5.名無しの神

 サメちゃん可愛いやったー!!


 6.名無しの神

 サメちゃん可愛いやったー!!


 7.名無しの有能神

 サメちゃん可愛いやったー!!


 8.名無しの神

 サメちゃん可愛いやったー!!

 サメちゃんが可愛いのはいつもの定期。で、なんなんあれ。


 9.名無しの神

 壊れた機械仕掛けの神の事?


 10.名無しの神

 そうそう。正直神ではないけど、明らかに人類の叡智を超越した存在だったよ。


 11.名無しの神

 教えて!!有能神!!


 12.名無しの有能神

 壊れた機械仕掛けの神

 人類の叡智を結集して作られた、人よりもほんの僅かに格が高い機械。神秘学会が研究していた、神降ろしと呼ばれる術を施した存在であり、この強さも異常。

 人間の格を1とするなら、壊れた機械仕掛けの神は1.01ぐらいはあるかな?


 13.名無しの神

 凄いじゃん。人間が自分たちよりも上の存在を未完全ながらも作ったとか、歴史的快挙じゃん。


 14.名無しの神

 かませ犬とか思ってごめんよ壊れた機械仕掛けの神。お前、地球では一応ちゃんとした格があったんだな。

 ところで、神降ろしって何?


 15.名無しの有能神

 あれだよ。祈って神が降臨するみたいなやつ。神秘学会はローマ教皇庁の犬だけど、本質的には研究者達の集まりだからね。彼らが編み出した神降ろしはほんの少しのだけ未知の領域から力を持ってきたんだよ。


 16.名無しの神

 急に世界観違うくない?


 17.名無しの神

 そもそも魔物が出てきている時点で世界観が違う定期。基底世界の地球は魔物なんて居ないしね。


 18.名無しの神

 それはそう。


 19.名無しの神

 魔力って力が悪さしたんやろうなぁ........


 20.名無しの神

 ちなみに、サメちゃんたちの格は?


 21.名無しの有能神

 1


 22.名無しの神

 サメちゃん達バグってて草。本当に神殺しやってるじゃん。


 23.名無しの神

 俺たちの格が100だと仮定してほかの魔物とかの格も知りたいな。


 24.名無しの有能神

 基本全ての魔物、生命は1。例外はニーズヘッグやピギーだね。

 ニーズヘッグは20ぐらい、ピギーはそもそも格というものが存在するかどうかも怪しい。

 他で言えば、熾天使は10ぐらいかな?後、黙示録のダンジョンででてきた天使は3ぐらいだね。


 25.名無しの神

 そう考えると、ニーズヘッグを潰したグレイくん達ってすごいんやな。そりゃ隠れファンも増えますわ。


 26.名無しの神

 グレイくん、世界中から滅茶苦茶人気だもんな。国内と国外で意味が違ってくるけど。


 27.名無しの神

 人気(お前を殺す)


 28.名無しの神

 グレイくん、今回あんまり暴れなかったなぁ........最後の拷問の時ぐらい?


 29.名無しの神

 まぁ、グレイくん、今回は派手にやることを目的としてたし、お得意のダンジョンドカーンは使えなかったししょうが無い。それに、歌はひとりで歌うよりもみんなで歌った方が楽しいよ。


 30.名無しの神

 グレイくんは無意識のうちに、ルーベルトが生かしてくれた事によって得た仲間達の声も聞いて欲しかったのかもね。

 そう考えるとなんかエモい。


 31.名無しの神

 拷問の時はやばかったけどな。ここじゃ書けないようなヤベーことばかりやってたし。


 32.名無しの神

 ちゃんと死を辱めてたの笑う。やられたらやり返す。それが我らがグレイくん。


 33.名無しの神

 そしてサラッと死ぬSランクハンター。あの、声すら聞いてないんですけど。


 34.名無しの神

 なんやかんや王達も戦闘力はバグってるからな。Sランクハンター2人相手にほぼ無傷で勝ってる辺り、流石はダンジョンの表ボスって感じだわ。ちゃんと強い。


 35.名無しの神

 そしてそれらを従えるグレイくん........やっぱりあの子が最強だよ。ピギーとかいう世界のバグも持ってるしね。


 36.名無しの神

 どちらにせよ、いい曲だった。聞こえているといいね。


 37.名無しの有能神

 そうだね。中々聞き映えのある悲しくも楽しい鎮魂歌だったよ。





後書き。

サメちゃん可愛いやったー‼︎と言うわけで、この章はここでおしまいです。

シャークネード、流石に予想してなかったでしょ。サメちゃんが全部持ってったからね‼︎

さて、そろそろ終盤。一応後二章で終わるつもりなので、最後まで応援お願いします‼︎

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