vs壊れた機械仕掛けの神
世界に現れたるは人の手によって作られた機械仕掛けの神。人が不完全ならばその神も不完全。故に、腕は壊れて世界をつつめず。
俺たちの前に現れた一体の神。
だが、ハッキリと言わせてもらえば、あれは神なんて言う存在でない。
何故ならば、神は人の手によって作られることなど決してない。
神は、この世界に干渉しない。
神はそもそも見た時点で理解ができない。
この世界の誰よりも神を知っている俺だからこそ分かる。あれは確かに高次元体のように振る舞うが、所詮はタダの機械でしかない事を。
だから、俺は銃を取る。
銀の弾丸を装填し、鼻歌を歌いながら引き金を引くのだ。
パンパンパン!!と、破裂音が鳴り響く。
しかし、壊れた機械仕掛けの神に弾丸が到達する前にそれは消え去ってしまった。
魔力を阻害する何らかの力が働いてそうだな。
「kmnsbkwuky(神の裁きを受けよ)」
「やなこった。お前は神じゃないんだよ」
「........ボス、アレが何を言っているのか分かるのですか?」
「神の裁きを受けよだってさ。人間に作られた分際で、一丁前に神を気取っているらしい。と言うか、何を言ってるのか分からないのか?」
「分かる方が無理ですよ。そもそもの言語じゃないでしょうし」
........あぁ、神がくれた言語翻訳が悪さしてんのか。
あれは本当に滅茶苦茶便利だからな。世界樹の攻略に至っては、あれがなかった不可能だった可能性だってあったし。
そう考えると、神から授けられたこの能力はとても便利である。
ありがとう。俺が転生させられる前に犠牲になった人たちよ。
君たちのおかげで俺は、この便利なチート能力を貰えたのだ。
一時は言語機能も与えずに転生させられていた奴がいたらしいからな。言葉が通じなくてつまらなかったらしいが。
そんな犠牲の元に俺はいる。神はクソだが、その犠牲者達には最大限の敬意を。
「........っ!!攻撃、来ます‼️高エネルギー反応!!」
どこかの世界で野垂れ死んだ英雄に敬意を評していると、神の裁きが下される。
ガシャンと機械音が鳴り響くと同時に、壊れた機械仕掛けの神は一歩歩くと世界が揺れた。
そして、背中から数多の機械が姿を見せる。それは後光のように光り輝き、よくある神の後ろに光る円の光となる。
そして、その後光からエネルギーは放出されて俺達に向かって降り注いだ。
ピギーを使うか?これを防御できるとは........
「フォッフォッフォ。ワシに任せよ」
「私も行くわよん」
ピギーを使おうか一瞬悩むが、それよりも早くじいさんとローズが前に出る。
そして、目に見えない神速の斬撃と、脳筋ゴリラのパンチによってその攻撃の全てが叩き落とされた。
エンシェントドラゴンの一撃よりは軽いだろうが、そこら辺の兵器よりは圧倒的に強いであろう一撃をここまで簡単に防げるとはさすがだ。
じいさんの性能がバグっているのはいつもの事だが、それ以上にローズもやばい。
何せこいつ、生身で攻撃を受け止めてたからな今。普通の人間が同じ目に合えば、間違いなくあの世行きだったぞ。
爺さんとローズがその一撃を守っている間、出来る仲間たちは動き出す。
この場でぼけーっとしているのは、俺だけであった。
「攻撃規制解除。火力装備許可。
「ジルハード!!死ぬんじゃねぇぞ!!」
「まだ最後のダンジョンを見てねぇんだ!!それまでは死ねねぇなぁ!!」
「植物魔物達。私たちの盾になれ。ミルラ。私を守れ。あれに効くであろう腐食毒を作る」
「おまかせを。護衛は私の専門分野です」
レミヤがその能力を展開し、銃弾や短距離ミサイルを乱発。
ジルハードとリィズは壊れた機械仕掛けの神に向かい、アリカは植物兵器達を縦にしながらあの神に有効的であろう薬の製造を始める。
そして、ミルラはアリカの護衛をしようとしていた。
判断が早い。俺以外は全員やることが分かっている。
「ボス。ご指示を」
「ん?んー、まぁみんなやることが分かっているみたいだし、このままでいいんじゃない?」
「では、俺はその場で待機します。正直、俺は戦闘では役に立ちませんしね」
レイズだけは、俺の指示を待った。
こいつは元軍人だからな。自分がどう判断しようが、上官の命令が絶対なのだろう。
「フォッフォッフォ!!わしらもゆくぞ!!」
「ぶっ壊してやるわよん」
リィズ達に続いて、じいさん達も攻勢に参加する。
そして、壊れた機械仕掛けの神との本格的な戦闘が開始した。
正直に言おう。
早すぎて何をやってんのかわからん。
リィズ、爺さん、ローズはSランクハンターの中でも上位に位置する化け物たち。彼らが本気を出せば、ただの一般人の目で追うのは不可能だ。
攻撃している音だけが響き渡り、そして壊れた機械仕掛けの神による反撃だけが目に見える。
唯一、ジルハードだけは普通である。
が、ジルハードもまぁまぁイカれていた。
ジルハードの能力は自身の体を強化すること。正確には、固くなるという事だ。
その能力に全信頼を置いて、壊れた機械仕掛けの神の攻撃を一切避けずに殴り続けている。
自分の能力を余程信頼していないとできない戦法だ。
頭のネジが飛んでやがる。
「困ったな。俺達やることないぞ」
「ピギーは........」
「使えないって。空にイカロスがいるから。機械が壊れちゃう。本当にやばい時以外は使わないよ」
「では、大人しく見守りましょう。彼らは人類の中でも最高峰の存在たちですから」
「そうだ─────」
ふと、俺はローマ沿岸部側に視線を向けた。
そして、絶句する。
俺の目がおかしくなってなければ、あれは竜巻に見えるんだが?
なにあれ、俺知らないんだけど。それに、ここの地形的に竜巻って起こらないだろ。
しかも、バカくそでかいように見える。少なくとも、人間があの竜巻に飲み込まれたら最後。即死待ったナシだ。
「なぁ、レイズ。あれ、俺の見間違いか?」
「........なんすかあれ。ハリケーン?」
「なんかこっちに向かってね?」
「向かってますね」
「ついでに言えば、なんか既に飛ばされてるものがないか?しかも、よく見てきたシルエットだ」
「サメちゃんですねぇ」
「やばくね?」
「やばいですねぇ」
「逃げた方が良くね?」
「いいっすね」
えー、大変盛り上がっているところ悪いのだが、今すぐ中止して逃げましょう。
シャークネード発生です。
あとは、我らがサメちゃん達に神を食い殺して貰うとしよう。
【壊れた機械仕掛けの神】
ブレイク・デウス・エクス・マキナ。
人の手によって作られた、神の領域に僅かに近づいた存在。人類の叡智の結集ではあるが、色々と不安定な上に内部にインストールされている人格があまりにもずさん。状況判断能力、及び経験則に基づく戦闘判断が下手であり、そこは人よりも劣っている。
材質、能力値で見れば確かに人のそれを大きく超えるが、判断能力及び思考という点においては圧倒的に人が勝る。
ぶっちゃけ、レミヤの方が優秀。もうレミヤが機械仕掛けの神でいいよ(適当)。
北部戦線では、できる限りの虐殺が続いていた。
そんな中、とある兵器を持ち込んだ兵士がいた。
最初は鎮魂歌を奏でる楽器のひとつになるかと思って持ってきたその兵器だったが、結局のところイカロス部隊にとっては邪魔でしかない。
彼は空軍元帥とこの兵器についてどうするのか困り果てていた。
「持ってきたけど使い道がないですね........」
「空に巻き上がっても我々が困るだけだしな。ノリで持ってきてしまったのを少し後悔している」
「どうします?使い切りですし、海に向かって放っておくというのは」
「作戦に支障が出るわけでなければ問題ないだろう。持っていてもかさばるだけだし、仕方がない。処分するとするか」
結局、持ってきた兵器は雑に使われて廃棄された。
海に向かって放たれたその兵器は、海に着弾するとそこから大きな渦を巻き上げて巨大な竜巻になる。
エルフの魔法と人類の兵器を合わせたものであり、ドワーフの1人が実験として作ったものだ。
問題なのは、その規模。最初ば小さく渦を巻き上げるがそれは徐々に巨大になって気がつけば500メール級の化け物竜巻が生まれてしまうのである。
エルフの魔法はそこまで大きくならない。
しかし、兵器として開発をしていたドワーフは、その威力をあげることに成功したのだ。
それを知らなかった兵士達は、予想通りの規模に安心し、あとは自然と消えるのを待つ。
持続時間も魔法の通りならそこまで長くない。
エルフの中でも使い勝手の悪い魔法として好まれないのだから。
そうして彼らは竜巻から意識を逸らす。
松巻きが地平線の彼方に消えた頃、凄まじい大きさになっているとも知らずに。
そして、海の上でやることが無くなったサメ達が、その竜巻を見て“この風に乗れればもっと役に立てるんじゃね?”と思い、巻き上がった水の中を上手く泳ぎ始めるとは誰も予想していなかっただろう。
B級映画に出てきていたはずのシャークネードは、こうして現実世界に再現されてしまった。
そして、壊れた機械仕掛けの神と相対することになる。
世界最強のサメ達vs人類の手によって作られた神。
誰もが予想だにしなかった戦いが、竜巻に乗って始まろうとしていた。
後書き。
シャークネード発生‼︎シャークネード発生‼︎
サメちゃんvs神の戦いが始まる‼︎
それと、新作を上げたので是非読んでね‼︎『異世界ローグ』で小説検索か、私のプロフィール欄から飛べるはず。
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