壊れた機械仕掛けの神
一気に緊張感を取り戻した仲間達は、それはもう凄まじかった。
レミヤによる熱源探知によって人間の居場所は炙り出され、気がつけば周囲が
結構な数がこちらを監視していたらしいが、結果として彼らも全滅した。
その数およそ30。
見つけ次第殺され、あっという間に無に返す。
これが仲間たちの本気なのだ。
最初からそうしてくれよ。
そんなことを思いながら、俺達は今ローマ教皇庁の地下を探索している。
現在、様々な報告が飛び交っているが、なんと既にITA(イタリア)南部のほぼ全てを壊滅させてしまったらしい。
まぁ、ドワーフ部隊だけ火力が違いすぎるからな。銃弾を放つような感覚で核ミサイルに匹敵するような馬鹿げたものを打ってるんだから、そりゃ殲滅速度は違う。
ちなみに、北部は既に南下を開始しており、最北端の村や町の多くが滅んでいるそうだ。
田舎の民家ひとつすら逃さないと言っていた彼らは、本当に人間をみつけ次第殲滅しているらしい。
そして、1番意味不明なのが1つ。
アバート王率いる部隊が、既にITA(イタリア)政府を拘束したとの事だ。
しかも、ちゃっかりSランクハンターを潰しているという報告すら聞いている。
あの、作戦は?
Sランクハンターは被害が出る可能性が高いから、リィズとおじいちゃんで相手にするって言ったよね?
なんで既に殺されてんの?しかも、なんで被害ゼロで勝ってんの?
報告では、アバート王が楽しくなりすぎてSランクハンターを捻り潰したらしい。
Sランクハンター2人を相手にして、無傷で圧勝したんだとか。
化け物かこいつは。
そりゃ、元は五大ダンジョンの一角にいた王だもんな。兵士たちがAランクの中でも上位の戦闘力を有していることを考えれば(一部はSランク相当)、王はSランクハンター2人ぐらい簡単にボコれるのか。
そう考えると、ニーズヘッグのヤバさが更に分かる。
王たち全てがSランクハンター二人をボコれるぐらい強かったとして、その王達を相手に善戦していたあの邪神って実は超ヤベーんじゃねぇの?
ピギーによって初動を封じてなかったら、その時点で負けてたまであったというのに。
王達の強さが明確になればなるほど、ニーズヘッグとかいうやべーやつの格が上がる。
アレだ。序盤に死んだけど、後々になって格が滅茶苦茶上がる敵キャラみたいな。
今考えるとよく勝てたな。おじいちゃんやリィズ、そしてローズと王達まで投入しても勝てるか怪しい魔物だったぞ。
と、話が逸れたが、既に国の中枢を抑えてしまっている。
後はこのローマ教皇庁を潰すだけ。それが終われば、単純作業になるのだ。
「........これはこれは。現ローマ教皇のみならず、枢機卿までいるじゃないか。地獄の底へ落ちる準備は出来たか?」
「........グレイ........神のご意志に背いた背徳者にして、人類の最悪め」
「酷い言われようだ。お前らは寄付金という名の賄賂を受け取り、あまつさえ死者蘇生という名の禁忌を犯した。俺は四つの大地を取り戻し、世界の平穏に貢献した。一体どっちが神の意思に背いているんだろうな?」
地下はコンクリートで出来ていた。薄暗い灰色の壁と、それらを照らす不気味な電球。
いかにも怪しい実験をしていますよと言わんばかりにの雰囲気だ。
そして、ここには教会のトップとNo.2達が勢ぞろいしている。
ローマ教皇と枢機卿達。彼らは、この奥地で俺達を待ち受けていたのである。
「これは神のご意志だ。私は神託を受け取ったのだ」
「へぇ?なんて?」
「我らがこの地における新たな神となり、人類を導けと。それを実行したまでに過ぎん。そして、全てが終わった時、世界は神の光によって包まれるのだ」
「典型的な神の信者だな。違う点を上げるなら、自身が神であると宣うことぐらいか」
「貴様らは神の敵だ。よって神に成り代わり天罰を下す」
「守られなきゃ何も出来ないジジィがよく吠える。老犬の真似でもした方がいいんじゃないか?首輪をつけたら、少しは大人しくなるだろ。主人は地獄の悪魔だがな」
俺はそう言うと、ワイヤーを具現化し、連中を捉える。
あれほどの自信を持っていたのだから、何か手があるのかと思ったが彼らはあっさり掴まった。
不自然な程に。
「........レミヤ。周囲の警戒をしろ。絶対に何かあるはずだ」
「かしこまりました........ですが、不審な点は見られません」
「ミルラ、護衛を頼むぞ。今からコイツらを外に連れ出し、惨めになるまで拷問する」
「了解です。ボス」
嫌な予感がする。本来なら今すぐにでもこの場でありとあらゆる苦痛を与えたうえでぶち殺し、更にはその死を辱めてやりたいのだが、彼らの反応があまりにも不自然すぎたのだ。
一旦離れた方が良さそうな気がする。
俺は適当な枢機卿の頭を掴むと、眉間に銃を当てた。
「おい。何を隠してんだ?」
「ふはは。神の罰は下される。神の罰は下される!!神の罰は下される!!我ら偉大なる神によって!!人類はついに!!神を作るにまで至ったのだ!!」
「とち狂ったのか?おい、頭をぶち─────」
刹那、周囲が凄まじい揺れに襲われる。
地震に慣れている俺ですら立っていられないほどの揺れ。
まずい、崩れる。
室内が崩れる可能性を察した俺は、このバカでかい地震の中でもなぜかしっかりとたっているリィズやおじいちゃん達に声をかけた。
「リィズ!!全員連れて外に出ろ!!」
「わかった!!」
リィズは自身の腕を触手にして、俺達を抱き抱えて外に出る。もちろん、あのクソッタレ共も一緒だ。
ここで楽に死ねると思うなよ。お前らの悲鳴がサビなんだからな。
全員が素早く教皇庁を出て、広場に滞在する。
元々地震に対して耐性のない家ばかりが立ち並ぶバチカンの景色は崩れ去り、砂埃にまみれて周囲を覆い尽くした。
日本の民家なら殆どが無傷だろうに。これだから地震がない国は地震を舐めているんだよ。
轟音によって崩れゆく建物。そして、地震が収まり、周囲の砂埃が晴れていく。
「ハハハ!!ハハハハハ!!ついにこの時が来た!!人類の叡智の結晶!!神に等しき存在!!我ら人類の保存と新たな生命の出現!!これが、我々の神だ!!」
「........おいおい。なんだありゃ」
砂埃が晴れた先に存在していたのは、高さ20メール以上もある巨大な機械。
人型をしているが、その全てがSFの世界に出てきそうな機械によって構成されている。
顔はヘルメット(バイザー付き)を被っているかのように見えず、片腕は明らかに不完全で壊れていた。
彼らが神と呼びたくなるのも分からなくはない。それは確かに、神聖な輝きを纏っている。
「
おいおい。世界観ぐらいは守ろうぜ。
いつからこの世界はSFの世界になったんだ?どちらかと言えば現代ファンタジーだろこの世界は。
出しちゃダメなやつじゃん。やるにしても天使とかそっち系で頑張ろうよ。
その内、体内に機械を埋め込んだ人間が........人間が........!!
「レミヤ。もしかして親戚だったりするか?」
「ボス?さすがに私はあそこまで大きくないですよ?それと、私は人体改造を施して脳以外の機能が機会によって補われていますが、あれはそんなちゃちなもんじゃないですよ。完全なる機械による新たなる神。言うなれば、MEKHANEです」
「おい勘弁してくれよ。それじゃあれか?旧ソ連のシベリア辺りには“にくにくしいもの”がいて、この世界にはクソトカゲがどこかに存在でもしているのか?後、それで言えば
「あ、ボスはちゃんと分かる人なんですね。私、あれ好きなんですよ。1番好きなのなんですか?」
「
「おぉー、ボスらしいですね。ちなみに私は
この世界、scpもあるのかよ。
scp財団。知っている人は知っているが、要は架空の生物や異常現象を研究、収納する架空の組織である。
一次創作のようなものであり、ちょっとしたストーリーと設定集みたいな感じかな。
ちなみに、あの架空の世界にある奴らは大体やばい。代表的な例を挙げると、何をしても死なずなんかめっちゃ強いクソトカゲ(多分ニーズヘッグより強い)とか、人類が1人でも生きていれば世界を再構築できる施設とか。
そんなものが色々とあるのだ。
ちなみに、俺が好きなscp-101-fr“私タちのイる場所”は、それらをまとめたscp財団のサイトが実は本物でしたよと言うロマンのある話である。
あれは好きだった。
他にもいろいろと有名なものはある。そういえば、この世界のscpサイトはどうなってんのか気になるな。
この戦争が終わったらちょっと見てみるか。
「おいボス。訳の分からん話をしないでくれ。あれどうするんだよ。見た感じ、明らかにヤベーぞ」
「大丈夫大丈夫。うちには最強の
『ピギー........』
ピギーが申し訳なさそうに鳴く。
あぁ。違うよピギー。ピギーが悪いわけじゃないんだよ。ピギーに適応できないこの世界が悪いのだ。
だからそんな悲しい声を出さないで。ピギーが申し訳なさそうにしていると、ちょっとこっちも気を使うのである。
「........まぁ、とりあえず殴ってみるか。機械の大半は殴れば壊れる。あいつがタダの電子レンジだと証明してやろう」
「はっ!!いいね‼︎神殺し、1度やってみたかったんだよ」
「フォッフォッフォ。神はただ1人、それ以外は世界から消すわい」
「本気で暴れられそうねん」
「やるよー!!」
こうして、人の手によって作られ壊れた機械仕掛けの神との戦いが始まった。
【scp財団】
2008年に開設された共同創作(英語版)コミュニティサイトであると共に、その作品内部に登場する組織の総称。
サイトの主な創作物は、「自然法則に反した異常な物品・存在・現象・場所など(異常存在、アノマリー、SCPオブジェクト、SCiP)」の収容手順やそのアノマリーの異常性の説明を記した報告書であるが、その他にもアノマリーやSCP財団に関する様々な形式の掌編(サイト内では「財団Tale・Tale」と呼ばれる)がコミュニティ参加者により執筆されている。これらはWiki形式のウェブサイトに投稿され、まとめられている。
サイト内の創作物は共通の背景設定に大まかに従うことが求められており、その多くがホラー小説やSFの要素を持つ。また創作物は一部を除きクリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0(CC BY-SA)ライセンスにより公開されている。
ちなみに、私は最近になってハマりだした。いいよねscp-101-fr。あれめっちゃ好き。
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