いつかの夏
いつかの夏
セピア色がかったあの日の思い出
何気ない一瞬
響く「涼しいうちに宿題やっちゃいなさい」
ありふれた日常
うざいとむくれたあの日々が
ずっと続くと思ってた
あれが当たり前だった
いつかの夏
闇からやっと這い上がった炎天下
白のシャツが眩しい偶像
これがファンタジーだって笑わせるな
通り過ぎてった日常
季節はめぐり、車窓は変わり
真夏の太陽のように明るかった幸せ
あの日見た絶望より黒い黒
いつかの夏
最悪だった男
「死にたい」が口癖の卑下屋
いつもうつむぎがちな落ちぶれた悪人
逃げたかった日々
死にたいって言っても死ねるわけじゃねえし
何をどう言ったって全部無駄だし
そう言って聞かなかった無色無味無臭の日常
そしてまた夏
「涼しいうちに」も朝から暑いし
信じなかったあの日々はもうファンタジーで
ただ変われない僕だけが炎天下に立っていて
僕を探す声ももうないけれど
ただ一言だけ手紙を書くとするなら
「元気にやっています」
いつかの夏に向けて
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