足の速い幼馴染…この鬼ごっこ終わりはあるのでしょうか?
猫の集会
足早すぎだろ…
オレは高校を卒業して以来幼馴染の
…亜耶芽元気かな?
連絡してみるか…って、連絡先…
実は、突然だがオレはずっと亜耶芽が好きだった。
でも…亜耶芽は、オレをただの幼馴染としてしかみていないだろうなっていうのがよく伝わってきていたから告白なんてものは、しなかった。
幼い頃からずっと一緒にゲームしたりしてたけど、大学生になると亜耶芽はあっさりと遠くの大学へと進学してしまった。
やっぱりな。
…
オレたちは、よく遊ぶけど隣同士だったからとくに連絡先を交換する必要もなかった。
窓越しに、おーい!とか声かけしてたし…
それ以来もう何年もあっていない。
大学卒業後、こっちには帰らず向こうで就職をしたみたいだ。
たまに帰省するらしいけど、オレが仕事だったりで、すれ違いだ。
もう、オレの部屋に入り浸ってゲームもすることさえなくなった。
とくに付き合ってるわけじゃないし…
だから、連絡先すら知らない状態なのだ。
それがまさか数時間後にあんなことが起こるなんて…
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
しばらくゲームをした後、ゴロンと転がり天井をボーっと眺めていた。
あーあー、暇だなー…
明日休みだし今夜はオールでゲームでもすっかなぁと、コンビニへと戦いに必要なアイテムを買い出しに行くことにした。
まぁ、ただの夜食なんですがね。
コンビニに入ると一人の女性と目があった。
⁉︎亜耶芽
「
亜耶芽は、オレをみるなり今にも泣き出しそうだった。
「え、どうしたの⁈てか、こっち帰ってたんだ?」
「うん…、そうなの。それで雑誌買いに来たんだけど…なんか変な人にずっとマークされちゃってさ…、怖くて…ずっと帰れなくてぇ…」
…
ちらっと視線を感じた方をみると、カリカリと爪をかじりながらこっちを見ていた男性。
あー、あいつか。
「亜耶芽、今夜はオールだからあれとこれも買わなきゃなぁ」
とオレは亜耶芽の肩を抱き、あたかも彼氏かのように振る舞った。
すると、オレたちをみたあの男性は爪をムギューっと悔しそうに噛んで店の外に出ていった。
その様子をみて亜耶芽は、
「あ、ありがとう。もう行ったみたいだから大丈夫だ。じゃ」
と店を出ようとしていた。
「待ってよ、亜耶芽。まだ油断大敵だから一緒に帰ろ」
と亜耶芽を呼び止めて一緒に帰ることにした。
こくんとうなずいた亜耶芽がオレに手を差し伸べてきた。
「ほいっ」
と言いながら。
手繋ごうってことか。
ストーカーみたいなやつがまだ見てるかもだもんな。
オレが亜耶芽の手をキュッと繋ぐと亜耶芽は、ギョッとした顔でこちらを見てきた。
⁉︎
「ん?」
「ん?じゃないわよ」
「…え?」
「え?でもないっ‼︎」
と言いながらオレの手をブンブンして振り払った。
⁉︎
手汗…かいてたかな?
手を見て擦り合わせてみた。
…うん、さらさら。
?
「ちょっとぉ…今度は、ハエの真似?手なんか擦って…てかさ、なんで手なんか繋いでくるのよ」
…
「だって…そっちから手出してきたんじゃんかー」
「…え、それはお礼に荷物持ちますって意味だったんだけど?」
なんて言われてしまった。
「あー…、ハハッ。なるほどねー。でも荷物とか、たいしてないしいいよ。それより亜耶芽のやつ持ってやるよ」
「あ、いい。重くないし…」
?
慌てて荷物を隠そうとした亜耶芽。
「ところで、亜耶芽は何を買ったの?」
「実は…雑誌と…アイスなんだけど…溶けちゃった」
…え?
「亜耶芽っていつからコンビニにいたの?」
「あー、一、二時間くらい?」
「まさか、あいつがいたから帰れなかったとか?」
「…うん」
「バカだなぁー。ならもっと早くオレに連絡してくれたらよかったのに」
「だって…連絡先…知らないし…」
‼︎
「あー、そっか!。……ならさ…一応連絡先交換してみるか?」
恐る恐る提案してみた。
すると亜耶芽は一瞬…えっ?みたいな顔をしていたけど、すぐに笑顔になり、
「うんっ」
と、うなずいた。
連絡先も交換してその日は、無事に帰宅してそれぞれ隣の家へと帰った。
そして部屋でオールしていると亜耶芽から
さっきは、ありがとうスタンプが送られてきた。
おぉー‼︎
オレは嬉しくなってすぐさまスタンプ返しをした。
その日以来、オレと亜耶芽はこまめに連絡を取るようになった。
そしてニヶ月後、亜耶芽がまたこっちに帰る予定があると言うので、夜二人で飲みに行くことになった。
もうワクワクがとまらない。
子供じゃあるまいしって思われるかもしれないけど、子供みたいに心がおどった。
待ち合わせまでまだ時間があるな…
本でも読んでいようか…って歩き出そうとすると亜耶芽⁉︎
「あれ⁉︎」
「あ…久人」
オレを見るなりなんだかけげんそうな顔つきになる亜耶芽。
「なんだー、もう仕事終わったんだね!」
「いや…もとからこの時間までだったっていうか…ほら、メイクとかなおしたいじゃない?だから少し待ち合わせを遅らせたわけよ」
「なにいってんだよ!相手オレだしそんなの気にしなくていいって。そもそも昔からノーメイク見慣れてるし」
…
「…あー、なるほど。でも…大人になったなって思って欲しいからぁ」
うーん…女心ってやつか。
なるほど。
「それなら大丈夫。もう十分かわいいよ」
「えっ?」
「ほら、行こ?」
「あ…うん」
「それにしても亜耶芽今日仕事頑張ったんだね」
「え、なんで?」
「だって…髪の毛ボサボサ」
「う、うそ⁉︎」
「うっそーん」
「もーっ」
ハハハ
と、昔と変わらないやりとりが戻ってきた。
そんな感じで懐かし話をしつつ楽しい時間を過ごした。
帰り道少し酔いを覚そうと、公園へ立ち寄った。
公園は、街灯がいくつもあり明るかった。
「この公園…昔よく遊んだよね」
亜耶芽覚えてたんだ。
なんだかオレも昔を懐かしく感じた。
あー…、亜耶芽とは、よく遊んだっけなー
オレたちは、ブランコに腰掛けた。
「なー、亜耶芽」
「なに?」
「このブランコ…よく乗ったよね」
「うん。懐かしいね!」
「もう、一緒に公園で遊んだりしないもんな…。」
「うん。」
「あ、でもひとつだけ方法がある。」
「なに?」
「それは…」
「それは?」
…
「あー、やっぱりやめた。きもいって思われるし」
「えー、キモいのは昔からだよ?」
「おいっ!」
「キャハハ」
シーンとした公園でオレたちの声が響いていた。
ずっとここにいたいなー。
亜耶芽と一緒にさ。
…あ、そういえばだれかが言ってたな。
昨日は…いや、過去はもう戻らないってさ。
後悔はしたくない。
なら、なら…ダメ元で言ってみようかな。
「亜耶芽」
「なに?」
「家族にならないか?」
「?え…家族…⁇」
「うん。そしたらまた公園で遊べる」
「え?なんで?」
「だって、子ども産まれたら…とかそうじゃないにしてもペットとお散歩とか…」
「アハハ、どんだけ公園で遊びたいのよ。ってかさ、今もブランコのってるじゃん。」
「…あーほんとだ」
…
笑われた…。
ハハハ…
やっぱり脈なしだった。
「今から鬼ごっこもできるよ!」
勢いよく亜耶芽が立ち上がった。
…
「そういうんじゃ…ないけど…」
オレの話を聞かないまま亜耶芽が走りだした。
ハヤッ
てか…亜耶芽、陸上部だったっけな…。
幼い頃からずっと亜耶芽の一人勝ちだったっけ…。
頑張って追いかけたけど、亜耶芽はオレに向かってあっかんべーをして家に向かって走り出した。
途中振り返りまたあっかんべー。
そしてついに家の前…
結局亜耶芽の勝ちだ。
「じゃあねん」
亜耶芽は、勝ち誇った顔で帰っていった。
…
あー、帰ったらヘッドホンつけてゲーム爆音でやろっ。
もう、オールでゲームコンプリートしてやる‼︎
と、半ばやけになっていた。
えぇ…恋愛は、見事な敗退っぷりでしたよ。
だから、ゲームでリベンジっす‼︎
というわけで、亜耶芽を無事家に送りとどけて、部屋に入るなりヘッドホン装着。
三十分したくらいで、オレはヘッドホンを外し寝っ転がった。
ふと携帯をみるとメッセージが入っていた。
亜耶芽からだ。
⁉︎
メッセージに、
家族になりたいです。
と、入っていた。
‼︎
えっ⁉︎
マジ⁉︎
慌てて亜耶芽に電話した。
「亜耶芽!」
「もー、遅いー…。メッセージみるのもプロポーズも」
…⁉︎
「え?」
「ずっと待ってたよ。」
「亜耶芽ってもしかして…」
「もしかしなくてもそうだよ。もう、鈍感なんだから…」
「あー、まじかー…。ごめん。」
「うん。いいよ。」
「ね、今からあいたい」
「だめ。何年も待たせた罰だよ。」
…
「えー…」
「うそ、ベランダに出てるよ」
亜耶芽の言葉にオレは急いで部屋の窓を開けた。
「亜耶芽ーー‼︎」
オレは勢いよく亜耶芽の部屋のベランダに飛んだ。
「キャッ…、危ない!」
「大丈夫だよ。亜耶芽…。やっと…やっと捕まえた。捕獲成功‼︎」
むぎゅ〜♡
オレは亜耶芽を捕まえた。
「捕まった♡」
とかわいい顔をする亜耶芽。
もー、かわいいー‼︎
ムギュムギュギューっ♡
おしまい♡
足の速い幼馴染…この鬼ごっこ終わりはあるのでしょうか? 猫の集会 @2066-
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