逃げるが勝ちだった

第11話 入社５か月目 懐かしい方達と お話

　今日は、先制パンチ上司がお休みだったので、少し早めに仕事を切り上げた。

　といっても定時ではないけど。定時に帰れるようになりたーいぃぃ。

　ウインドウショッピングをしながら駅を歩いて帰っていく。

　少し遠くから、見たことあるような人を見かけ、知り合いだったかなと考え

　気になって見ていると、パッとその方がこちらを見て、目が合う。

　おっ？おおぉぉぉ。懐かしいパン屋の店長様ではないですか。帽子被ってないと

　よくわからないねぇ。制服じゃなかったらもっとわからなかったよ。

　こちらに気付いているはずの店長は、人の顔は見てくるがこちらには来ない。

　ジロジロとみてくるだけである。

　疑問に思いながらも懐かしい人に偶然会えて嬉しかった私は、

　店長に近づいていった。

　店長！久しぶりですね。お元気でしたか？

　中々、忙しくてそちらに遊びに行けなくて、とウキウキに話しかけたら、

　驚いた顔で、私の名前を確認された。

　名前を名乗り、もう、５カ月ぐらいで人の顔忘れちゃうなんて、なんて

　薄情なてんちょ、と言いかけたら

　お前、きちんと食事しているか？眠れているか？しんどいなら、

　ウチに戻ってこい。と言われた。

　きょとんとして店長を見ていると、店行くぞ。と鞄を緩くつかまれ、お店の方へ

　連れていかれた。

　懐かしいパン屋に来ると、これまた名前を確認される。んんん？と思いながらも

　再度名乗ると休憩できるバックヤードに連れてかれそうになった。

　流石にもう、ここの店員ではないので…と遠慮すると、いい子だから、大人しく、

　こっちに来て、ここに座って。と大変お世話になったパートさんに仁王立ちで

　言われた。区切って、言われると滅茶滅茶迫力があって怖いです、姐さん…。

　店長がゆっくりこれでも食べなとクラムチャウダーをくれた。これ…中々お高い

　やつだったはず。バイトしてた時、試食でも食べたことないやつではないですか。

　え、私なんかした？？

　ジッと店長を見ていると日々頑張ってそうだから、就職祝い？っていわれた。

　遠慮なく頂いた。美味しーーい。アサリが美味しい。具もいっぱい濃厚で

　美味しい。野菜もやわらかーい。とろける。んー、五臓六腑に染み渡る。

　買って帰ろうかな…。

　パートさんには、ちゃんとご飯食べてる？眠れている？ここのバイトに戻るなら

　店長に掛け合うよ？とほぼ、店長と同じことを言われた。

　同じこと店長にも言われましたけど、どっか私おかしいですか？と聞くと、

　ココ辞めた時と顔、全然違う、げっそりしてるよ。極端な話、顔一回り

　小さくなってる感じ。働いてた時は、ふっくらとしたほっぺただったのに、

　ふっくらが、サヨナラしてるよ。ココ辞めてから、体重はかった？

　日々一緒にいなくて、久しぶりに会ったから余計に違いが判るよ。

　体重、はかってないですね。まぁ、贅肉って中々落ちないですもんねぇ。

　そう考えると瘦せて少し嬉しいかなぁと思っちゃいます。

　姐さんは呆れたようにそんなレベルじゃないと思うよ。

　まぁ、連絡先は変わってないからメールでも電話でも頂戴ね。

　辞めてからなーんにも連絡してこなくなって久しぶりに会ったら

　痩せてるし、ビックリしたんだからねぇ。

　食事はしっかり、とりなさいね。あっ、休憩時間終わるからまたね。

　と言うだけいって戻っていった。

　その後も懐かしい方達と話して、気持ちは楽になった気がする。

　仕事以外の人とも話すのって大事な事なんだなぁと思った。

　なんかスッキリしてる。

　帰ってから体重をはかった…10㎏近く痩せていた…。あらまぁ。

　入社時の写真と今撮った写真を比べた。顔ほっそりしてるー。

　夕食も、ツルツル食べられるうどんとかにゅう麺ばっかだったせいか？

　間食も出来なくなったしなぁ、そのせいだと思いたい。　

　今は、食欲より睡眠欲の方が勝っちゃうんだよね。

　クラムチャウダー買い忘れた…。