第9話 入社3か月目 書類の山と比べられる辛さ

必死に仕事を処理していく。

が、今日も処理すべき書類の山は減る気配はない。こなしてるのにもかかわらず、

やればやるほど、増えてる気もしてくる。処理するペースが当たり前だが、前任者より遅いのである。書類様、頼むから雪崩れてくるなよ…。


決算業務、本当に終わっててよかった。通常業務でこんな山だったら決算業務の時はどんな感じになるんだろう…。早く慣れて、前倒しで書類をこなせるようになりたい。


いっそ、先輩方ベテランの方の頭の中コピーして自分の頭にインストールが

出来ればいいのに。現実逃避をしながら、書類を処理していく。


当たり前だが、周りはベテラン勢しかいない。書類の山がいつまでたっても減らない事に段々とイライラしてきたのだろう。

なんせ、私が処理してから上の方達に書類がいくのだから。

前任者だったら、終わっていることが、中々終わらなかったし、すんなりいか

ないのだから。

ツーカーで通じていた事が通じなくなって不便になったのだから。



先制パンチ上司からは、ええ?まだ処理できてないの?前任者は早かったよ。

締め切りには間に合うんでしょうね?

…すみません。あと1時間程で終わると思います。

(お昼時間、やっぱり切り上げるべきだったかな。なんで私、出来ないのだろう。)


営業の人達からは、前任者はやってくれたのに、君はやってくれないの? 

前任者は用意してくれたよ? 気が利かないなぁ。

…すみません。次回からは用意しておくように気を付けます。

教えてくださってありがとうございます。

(私が用意しなきゃいけなかったのか、知らなかった…。書いておこう。)


支社の上の方達からは、前任者は顔も綺麗だったなぁ。君は華がないなぁ。もっと

ニコニコした方がいいんじゃない?

…すみません。気を付けます。

(表情にも、気をつけなくちゃ。明るく、明るく。)


ペコペコ謝ってばかりだった。

出来ないことが辛かった。

比べられることが、辛かった。

惨めな気分だった。

バネにして頑張ろう、出来るようになってやる!と思えたのは最初だけだった。

毎日、比べられていると、そんな気持ちはドンドンすり減っていって、自分がダメ人間にしか思えなくて、しんどかった。


皆が、皆、前任者と比べる人達ではなかったし、逆に比べる人を注意する人達もいたけど、上手くできない自分に、気遣えない自分に、徐々に嫌気がさすようになっていった。


時が過ぎた今なら、こう言いたい。

ひよっこが、前任ベテラン8年のスピードで出来る訳ないでございますわよ!

気遣いだって無理でございますわよ!出来たら最高でございますけどね!

当時は、キャパオーバーで、いっぱいいっぱいでしたのよ!

顔はもう、好みの領域でしてよ、言うなら人事の人に好みを伝えてくださいまし!

貴方様の好みのお顔じゃなくて、良かっ…間違え…てないけど!申し訳なく思わないことも1ミリぐらい…ないわー。好みじゃなくてよかったわー。

わたくし、多分褒めて伸びるタイプですわよ!

比べられて伸びるタイプでは、なかったですのよ!




半年ぐらいしたら、徐々になくなりましたが、毎日、比べられるのは、

辛かったですよ。


だって前任者じゃないもの。













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