後日談 『勘違い』

 トントントン……。


隼「紗季ー、入るぞー。プリント届けにきた」


隼「つーか、お前の母ちゃんも熱あるんじゃないのか? お姉さんって呼ぶまで離れないっ! て足にしがみついて来て……」


隼「って、は? 詩帆さん?」


詩「あ、あはは〜。隼人くん、やっほ〜」


隼「お、おう……あれ、紗季は?」


紗「……ここ」


隼「え……あ、え? なんで2人で寝てるんだ?」


詩「えーっとね、それにはちょっと訳があって」


紗「いや、詩帆が一方的に入ってきたんじゃん」


紗「てか、いい加減離れて。ホントに暑い」


詩「えー! ひど!」


隼 ——放課後。女子高生が2人でベッドに入って、しかも抱き合ってる……。


 その瞬間、隼人に電流が走る。


隼 ——あ、この展開、同人誌で見たことある!


隼「と、とりあえず、ここにプリント置いとくぞ」


紗「ん。ありがと」


隼「それと」


紗「ん?」


詩「なに?」


 ……。


隼「爪は……しっかり切っとけよ……それじゃ」


 パタン。と音を立ててドアが閉まる。


詩「……ま」


詩「待って隼人くん! 違うの! そういうのじゃなくて!」


紗「……ん? 爪切るって、どういう事?」


紗「詩帆、なんか知ってんの?」


詩「っ! いや、なんのことかな……あはは」


詩「……って、紗季?」


紗「教えてくれるまで離さないから」


詩「え、いや……私は本当にっ!?」


詩「隼人くん! 帰ってきてぇ〜!」



 その後渋々『爪を切る』意味を教えた詩帆。


 紗季は顔を真っ赤にして、再び寝込んだのであった。

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