第58話 【魔魂封醒《フリーダム》】:【撃朱の剣《インパクト》】
「............将軍、一つアドバイスします。防御に全力を注いでください」
「何っ?」
「
私の音声に反応した
地面を蹴り、駆ける。加速する体。自分の体は『
「————————【
瞬間風速がいくらか主観的なことはわからない。視認できる状況では、地面が抉れていることだけ。
引っ込めた
【
もう一つ、【
建物も餌食になる大爆発。
私は周りを見渡す。グッダグ将軍と十五メートルしか離れていないのに、この有様。破壊の権化、崩壊の一途。目の前に建っていた建物は建物としての機能はなくなり、瓦礫と化した。隣接するいくつかの建物は壁やガラスに亀裂があるくらいのダメージ。もう少し距離を離していたら、どうなっていたのか。試したいようなしたくないような複雑な感情を抱えてしまった。
徐々に視界を遮る砂埃がなくなる。目の前で防御の構えをとっていたグッダグ将軍。彼の鎧は半壊。持っていた三叉槍は穂先から崩れてしまう。地面に膝をつき、脱力顔。もうグッダグ将軍に戦いの意思は見えなかった。残ったいるのは私を刺す鋭い眼差しのみ。
「貴様、ワザと外したな」
「私は、元々、貴方の命を刈り取る予定はありません。時間稼ぎだけが目的ですので〜」
「『時間稼ぎ』だと......」
(もう、そろそろかな......キタッ!!)
地面に灰色の破片が落ちてきた。色合いと材質、上から落ちてきた。それらを考えた結果、安心感が優った。
「武装を解除するとは......」
「生憎、私の目的は貴方を倒すことではありません」
上から次々、破片が落ちてくる。グッダグ将軍の周りにも破片が落下してきて、見上げる。
「貴様......何をした」
役目を終えた
「私の杖って、特殊で」
剥がれたことで生まれた巨大な衣。海底都市の地に降り立ったことで、煙が周囲を覆う。
幸運値はそこまで、上げていない。これは、リアルラックなのか、と私の内心はよっしゃー、ラッキー!!
状態。ちょうど背後に落ちてきた落下物。横目で見ても当たれば即死級の落下物。落下したことで微ダメージは発生したものの、実害はそれほどない。瓦礫は残るシステムではなく、霧散していくのは知っている。ただ、霧散エフェクトが光色に位置しているから、地面に写る私の影がでっかい。
「どんな呪いも解呪できるのよ」
いや、嘘をつきました。アリエスの呪い、未だに解呪できない。不甲斐ない主ですみません。
空中? 翼を展開して最後の兵士を片付けたカプリコーン。彼女だけは少し口角を上げている。それ以外の、ミランダやアリス、周りの兵士たちも絶句。
カプリコーンが私の隣に着地した。同時に【
「成功ですね、ご主人様」
カプリコーンはウェーブがかかったライムグリーンの髪の毛を見て、嬉しさが滲み出ていた。
「将軍さん」
私の声に反応したグッダグ将軍。彼もまた今起こっている現象に絶句していた一人。槍だった棒状を下に向けていた。
「貴様は初めから......」
「神様の声、聞きたくありませんか?」
石像から生きた人魚が出てきた。それだけでも驚愕の事実。加えて、巨大な人魚の容姿は、最古の文献の一部に記載されていたものと似ていた。上半身は女性の体、艶かしい鱗を帯びた下半身は魚の尾鰭となっている。緑がかかった豊かな髪に、白い肌、赤い瞳。胸につけているのは加工された貝殻なのだろう。
ユミナとカプリコーン以外、言葉を失っていた。眠りから覚めた美女は、薄暗い海底都市に彩りを与えた。人魚を上位互換とも言える美女は、人魚の中の人魚。女王に相応しい肢体と引きつける魅力を持っていた。
一同が、人魚姫に第一声を聴こうとする。石化が解かれた瞬間は、海棲人たちの歓声が上がっていたが、今はしっーんとしている。
「ちょっと、私も興味があるんだ」
私が零した言葉に耳打ちをするカプリコーン。
「先に言っておきます、ご主人様。あまり、期待しないでください」
「えっ!?」
台座から飛び出し、浮いている人魚。
体を伸ばし、気だるそうな声を発した。
「はァ〜 よく寝た!! もう一回、寝よ」
やれやれと額に手を置くカプリコーン以外、口を開き、微動だにしなかった。
「なんか、下が騒がしい。あれ?」
人魚は首を曲げ、下を向く。昔、属していた懐かしい種族が変化していたことへの不安と、盟友の元気な姿に涙を流す。
「カ、カ、
巨大な人魚の涙は普通の人間サイズには、死に直結する大きさ。カプリコーンはユミナを抱え込み、地面に落ちる水塊を回避した。安全な場所にユミナを降ろし、盟友と顔を合わせた。
「お久しぶりです、アクエリアス。それと、私はカプちゃんではありません」
★★★
片手剣系統:分類:ナイフ
【
自身が受けたダメージでエネルギーがチャージされる。満タンになると『FULL CHARGE』と表示される。
音声認識で使用可能になる
0メートルから5メートル:不発
十五メートル:目の前の建物一つが崩れる。周りの建物が亀裂入る。
二十メートル:15平方キロメートルの地がクレーター&周囲は焼け野原。
二十五メートル:245 平方キロメートルが焼け野原
三十メートル:7777平方キロメートルが焼け野原
(お手軽核攻撃...)
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