第26話 喰らったら、『倍返し』は基本業務

「命中!」


 肩に刺さった毒針は即座にフォンラス・アーテンの体に循環する。真っ黒な体でも分かるように紫色の線が無数に浮き出てきた。毒が巡っている証拠。


「調子に乗るなっ!!」


 腹部に巨大な拳の攻撃を喰らい、ユミナは壁に激突した。


 腕を曲げて軌道を変えて、私の一瞬の隙をついたってことか......


 意外に器用に戦うのね。


 前に戦った筋肉剥き出し怪物と同じようにフォンラス・アーテンも再生持ちか。私が斬った触手が復活している。


 キューちゃんとの 譲渡変化ギフトなら必中かもしれない。


 でも、フォンラス・アーテンに肉体は魔法攻撃を吸収する耐性を持つ。魔法武器でもある婥約水月剣プルウィア・カリバーで攻撃しても斬撃の攻撃しか入っていなかった。


 水分を奪う魔法はかき消されているのは実証済み。斬撃も真っ黒の肉体には浅い傷しかつかなかった。浅い傷も忽ち再生される。


「斬撃は望み薄。打撃は有効か......」


 打撃攻撃なら攻撃は通じる。フォンラス・アーテンと同等の敵と戦う魔法使いは、近接打撃武器を装備してくださいってことかな......



 鬼蜂の拳キラー・スティンガーの毒に侵されているフォンラス・アーテンは荒々しく息を吐き、突進紛いな攻撃を仕掛けてくる。余程、毒が聞いたようね。これも情報に入れておこう。


 私を睨む目。


「何、一丁前に怒っているのよ!!!!!!」


 打撃武器への攻撃と毒がフォンラス・アーテンには有効。フォンラス・アーテンへの攻撃手段の確立は完了。あとは特大の一発を喰らわすだけ。


「くっ!?」


 触手に捕まったが、ウィンドウ操作で星刻の錫杖アストロ・ワンドを装備。


「ワタシに魔法は効かない」


「はぁ、お前に使わない......自分に使うのよ、『リキッド』」


 水系統魔法の『リキッド』。数秒間、使用者の体を液状化にする魔法。私の体はスライムの如く、触手に絡まりながら移動し脱出した。


「良かった、元に戻った」


 感触を確かめ、襲いかかる触手を避ける。蹴りモーションを繰り出す。


「私の蹴りは一味違うわ。【印電量ライジング】」

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