第20話 ロープって、切られるの定番じゃない
エレベーターシャフト中。
「暗いわね......」
エレベーターを破壊し、残ったロープをつたって下へ落ちる私達。
当然、照明器具はないので暗闇で移動せざるを得ない。
少しずつロープで降る。
「『気配感知』が発動した??」
もうすぐ地下専用の扉に到着する。
無意識に体を動かすスピードも上がる。
最初に気づいたのは自分のスキルだった。
自動発動スキルが起動するのが分かった。
私達に対してアクティブモードになるMobが近くにいれば強制的発動するスキル。
『気配感知』が発動した、即ち私達に攻撃を仕掛ける敵がいるってこと。
上から火花が散る。同時に金属が破壊される音が鳴り響く。
壁に備え付けられている配線や金属で作られた壁を足場代わりにした結果。
得体の知れない何者かが音を立てて迫ってくる。
「えっ!?」
両手両足でしがみつき、移動手段兼命綱の役割をしていたエレベーターのロープ。
エレベーターが上れる最上階でもある地上二階の天井部分に巻上機が設置されているため、しっかりピンとロープは伸びている。余程のことがない限り、千切れる事態にはならない。
「アリ......」
事態は一番上にいる私がいち早く感知できた。下にいるアリエスとフェーネに重大な知らせをするが間に合わなかった。
時、既に遅し。
体が浮遊感を味わう。下へ下へ落下していく。
背中から落ちながら、自分の体がスローモーションに動いている。
薄暗い空間に見える三つの赤い点が光る。
手足を脚にして、四本で壁にへばりついている奴。
前脚には鉤爪、おそらくロープを切ったのだろう。
「......ッ!」
私達は暗闇の中、身動きが取れない恐怖を覚える。闇の手から地獄に招かれていくが如く。
苦痛の叫び、パニックな身体、三人の悲鳴が空間を支配した。
「イヤァァアアアアア!?!?!?」
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