第14話 女の子だって、物理攻撃したい

そそくさ、落ちている素材を拾う私とアリエス。


「空中をまるで水中にいるかのように高速で泳ぐのは反則だよ」


 ため息混じりの苦笑する私。


「仕方がないですよ、あの二匹は元々は魚類ですから」


 あの二匹。


 エイ型のモンスター、《ダイバーレイ》とサメ型のモンスター、《アビス・シャーク》。


 執拗な動きを見せ、私達を獲物として認識していた。


 《ダイバーレイ》は水中でも空中でも自在に滑空する事もできる。


 機械化されたヒレは獲物が近くにいると特殊行動を起こす。


 鋭い刃物を展開し、すれ違いざまに私達を切り裂く武器となる。


 一回喰らったけど、《ダイバーレイ》の尻尾に捕まったら、打ち据えた行動を起こす。


 身動きが取れない私に電撃攻撃してくる。


 最終的に《ダイバーレイ》はアリエスの拳スキル、【剛腕の巨人デストラクション】で倒された。


 何度か発動したのは確認したけど、やっぱり怖いものがあった。


 これがまだ筋骨隆々の人ならなんとか納得のいく部分がある。


 でも、華奢で繊細な女の子。元聖女という経歴から絶対に似合わない。


「アリエス。どこであんなパンチ覚えたのよ」


 狼狽えるアリエス。


「えっー......っと、若気にいたりと申しますか」


剛腕の巨人デストラクション】を撃ち込まれた《ダイバーレイ》がすごいのなんの。


 《ダイバーレイ》の下に潜り込み、アッパーをかましたことで周りの空気を振動させる勢いのパンチだった。


 腹部に直撃し、《ダイバーレイ》の体が無惨にも一発KOで四散していた。


「おかげで電撃攻撃から助かったから良かったけど」


 頬を膨らませるアリエス。


「ユミナ様には言われたくありません」


「うん? 私何かしたっけ?」


「この眼でしっかり目撃しましたから」


 《ダイバーレイ》撃破後、間髪入れずに攻めてきたサメ型モンスターの《アビス・シャーク》。


 自慢の牙を剥き出しにしながら突進してくる単調な攻撃。


 氷魔法を持っているのか氷柱を出現させ、発射させる攻撃。後は尻尾が機械化されている。


 通常時は尻尾に機械がくっついている見た目。


 でも、獲物が近くにいると尻尾が変化した。


 それは、機械尻尾にぶっとい針が生えてきたこと。


 100%、人なんて簡単に貫かれるレベルだった。


 最終的に、新たな魔法武器の双剣とジェノサイド玉藻ノ前【魔術本:No.4】のキューちゃんとの 譲渡変化ギフトで成敗した。でも......








「あれは......封印だね」


「あれは、やりすぎです」


雨も降っていたら、無双状態だったかもしれない。


いい意味でなんて物を作ったんだ、私の鍛治師は。


 素材を回収し終えた私達。


「予想外の敵襲はあったけど、これでようやくあの建物に行けるね」


「それにしても、なんでこんな絶海の孤島に人工物が......」


「それを含めて、調査しようか」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る