第11話 隠れビーチではお静かに:Part2

 ◇◆


 自分だけの特権ではあるけど、こう毎日毎日アプローチが激化していくのも贅沢モノの悩み。





「やけに疲れていないか、お嬢」


 ふらふらの私を心配するタウロス。


「ちょっとね」


 全く、ヴァルゴめ......手加減を覚えた方がいいわよ。


「タウロスのお腹、高級枕のように癒される」


「素直に喜ぶべきなのか......複雑だな」


 私が凝視していたのがバレ、照れているタウロス。


「どうした?」


「う〜ん。前も思ったけど、ヴァルゴとはまた違った胸よね」


 あっちが大玉スイカ二個分ならこっちは三個分の大玉スイカ。どっちもどっちか......


「触っていい」


「遠慮が皆無なんだが」


「いいじゃん、減るもんじゃないし」


「アタイの不安が増えていくがな......まぁ、いいか」


 体勢を変え、向かえ合う私達。


「凄い......」


 下から持ち上げる様に触ってみたが重いの一言。


 触れるとマシュマロの如く柔らかさのヴァルゴに対してタウロスはちゃんとした重量感があった。なんて言うんだろう、持っている感覚が手のひらに伝わる感じ......


「意外に可愛い喘ぎ声するのね」


「か、揶揄うなよ」


「別に素直な感想だけど? 可愛いよ、タウロス!!」


 口元を抑え、声を必死に耐えている。私は手を止めなかった。中々ない機会だから存分に楽しむ予定だ。










 ◇◆◇


「ムスッとすることないじゃん」


 お楽しみが終わり再び、枕へと戻るタウロス。


 暑さと主人からのマッサージにより、激しく体力を消耗したタウロス。紅潮している頬でむくれ顔が私を見ている。


「タウロスはウブなんです、ご主人様」


 私の足をマッサージしているカプリコーンが答えた。


「仰向けになってください」


 仰向けになった私の足に冷たい液体がかかる。


「えっ!?」


「特別に調合したオイルです」


「そ、そうなんだ。気持ちいい〜」


 まさに天国だった。全身がカプリコーンによって溶かされていく。カプリコーンのマッサージがないと私は生きていけないレベルにまで至った。


「それにしても、星霊はマッサージに定評でもあるのかな〜」


「過去に様々なお方のお側にいましたから」


 星霊の仕事の一つ。天に願った者の下へ趣き、一つの願いを叶える。なんでもと言うわけにはいかないが叶った者は幸せそのものになるらしい。


「一つ叶えたら、その場で消えるって......若干ホラーよね」


 キツネにつかまされた気分なのだろうか。急に現れて願いを叶え、急に消えるとか......夢なら良いがちゃんと願いが叶った痕跡を見つけた日には、恐怖一直線になること間違えない。


「みんなもいなくなるのかな〜」


 私の何気ない問い。


「強いよ!?」


 いきなり力強く尻を揉まれ、慌てた。


「ご、ごめんなさい......ご主人様。ですが......私やタウロス、その他も誰もがユミナ様の下から離れません。絶対です」


「そ、それは......あ、ありがとう......はン。いったん、マッサージは中止」


 命令口調な私に反抗するカプリコーン。


「離したいのは山々なんですが......おかしいですね。ご主人様の魅惑のお尻から手が離れません!! いや〜 困りました」


 首を後ろへ向ける。


「困り顔じゃないじゃん!? 何わざとらしい仕草しているのよ」


 痛みはない。そればかりかカプリコーンに触れられたことで快感を覚えていた。あれ......まずくない?


 特別マッサージは延長線に持ち込まれた。

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