第10話 隠れビーチではお静かに:Part1
「今日も雨、酷いな〜」
全く......六月じゃないのに。数日続く雨に私、せつなの憂鬱な気分で疲れる。でも、今の私にはマイナスな気分を吹き飛ばす存在がいる。
思いったらなんとやらっで、目的地に向かう。
......と、いっても隣の部屋に向かうだけなんだけど。
数回ノックして部屋の主に入る許可をとる。
ドアノブが回り、中から義姉が登場した。
「せつな?」
キョトンとした顔の私の義姉でもあり......その......恋人でもある、
と、兎に角、彼女とイチャイチャすれば雨なんて晴れる。
「白陽姫ちゃん、イチャイチャしませんか」
真正面から言うのは中々に恥ずかしいが、カップルってこんなもんでしょう??? 問題はない。
私の誘いに申し訳ない表情を浮かべる白陽姫ちゃん。
「せ、せつな......すまない」
えっ!?
「これから、友達と連絡を取らないといけない事があってな」
「今じゃダメなの??」
きっと、白陽姫ちゃん視点からすれば今の私はヤンデレ気質な発言をしたんだろう。私への振る舞いが慎重になっている。
「私、本人としては後でもいいんだが
「『
「うん。
「そ、そうなんだ」
不意に私を抱きしめる。
「本当にごめん。あとで埋め合わせはするから」
「分かったよ、絶対だよ」
自室に戻り、ベットに仰向けになる。
「どうしよう......」
夏なのに、思い出が一つもないような......なんかこう一夏の思い出みたいな出来事起きないかな......
「ビーチとか」
ダメだ。ビーチになんて行けば、男女問わず白陽姫ちゃんに視線が行ってしまう。有象無象に白陽姫ちゃんの御神体を見られるのは恋人として、嫌な気分になる。かといって一人で白陽姫ちゃんを神に愛されたお体をじっくり見てしまうと私の中の
全てを満たしてくれるモノは......
「う〜ん」
大丈夫だよね。さすがに外だ......みんな、品性は
「ゲーム、やろう!!」
目指すは、青く透き通ったビーチへ
◇
嵌められた。
みんなと距離を置き、やってきたのは岩の下。足首が使っているレベルの浅瀬。さっきまで葉っぱの団扇の涼しさしかなかったので海の水がより冷たく感じる。
後ろ左右は岩の壁ができていて脱出は困難。唯一の出口である正面は黒い水着を着ている玲瓏美人がいる。完全に包囲された。
「ここにいるのは二人だけ」
さっきまで海で泳いでいたので髪が濡れ、体に張り付いている。黒のビキニで強調された白い肌。普段重々しい鎧を装備しているのに脱いだら凄いの一言。今までもお願いして着せ替えしてきたが今回のレベルは段違いだった。
「私は屈しないわ」
「そう言って言われるのも今のうちですよ、ユミナ様」
抵抗虚しくヴァルゴの腕一本で私の両腕は上へ拘束された。
押しつぶされる圧。豊満なスイカの感触。唇が触れ合う距離まで追い詰められた。
赤く染まっている私の顔にご満悦。
「あの時から理性崩壊してない?」
「悪魔ですので、欲望に忠実なんです」
唇を重ねた私達。
理性が外れた肉食獣へと変貌していたが貪るようなキスではなかった。
「真の一番になった時のために取っておきます」
唇を離し、息を荒々しく吐く私を見て微笑む。
「美味しい!!」
「はっ......はっ......」
「もし、ユミナ様が望むのでしたら今、ここでやることも可能ですよ」
イタズラっぽく笑うヴァルゴ。それ以上を欲するが私には白陽姫ちゃんがっと悶々する自分。
しばらく、私達のやりとりは続いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます