第7話 先祖は何を子孫に残すのか

 ◇


「ってことがあったんだけど?」


 クエストクリアした私とカプリコーンはそのまま大図書館へ向かった。


 それにしても、ウラニアの指輪......本当に入手できないのかな。

辺り一面、魔雨の花シャクヤクだらけのエリアを発見し、根こそぎ採取してきた。


 普通ならストレージに制限がある私達、プレイヤー。


 でも、星霊の共通アイテムの無限ストレージでもあるウラニアの指輪には片っ端から魔雨の花シャクヤクを収納できる。

 ウラニアの指輪の内部は物を入れた時点の時間で固定される。


 だから、鮮度抜群。いつでも新鮮なアイテムを取り出せる。

 雨の日にしか出現しない魔力の花シャクヤクも雨が降っている状態でウラニアの指輪に放り込んだから、いつでも青い花を出せる。

 タウロスに色々、作ってもらう!



 霊体擬きが難しい顔をした。


「と、言われてもな......私の子孫だからこれくらいは簡単だと思った試練なんだがな〜」


「じゃあ、別に自分の作った魔法や大図書館にある書物を誰にも渡さないって訳じゃないんだ」


「当たり前だわさ。ただ飾っている本なんて無価値な存在。書物は読まれてこそ真価を発揮する。魔法もそうだわさ。使って初めて価値を見出す」


「もう少し......ゆるくしたら。ケンバーの子孫、困っているし」


「ならん、これくらいの試練を突破できぬ鍛錬しか受けていないこと。明白だわさ」


 まぁ、分からんでもない。自分が高みに達したんだ、自分の血を受け継ぐ者も同じように研鑽するだろうっと。



「......私は」


 見下ろし、ろうばいするケンバー。


「お、お前さんは......」


「私は偶々、星刻の錫杖アストロ・ワンドを手に入れて、星霊探しの旅をしたことで簡単に入館できた。これを幸運って呼べるかもしれない。この幸運でこうして最高の魔法の師匠から魔法を教わっている。でもさ、カレッタは......ずっと苦しんでいるんだよ。助けたい」


「ならん、幸運だろうとユミナが入室できたのは、ユミナ自身が大書館に選ばれた証拠。わざわざレベルを落とす必要はない。それに、段々、お前さんの主観が入っているぞ。その『カレッタ』なる私の子孫を直接見ないことには信じれん」


「ケンバー」


「許せ、これが私の性分だから......」


「分かった。カレッタに話してくるよ。元々、ケンバーの真意だけを知りたいらしいから」


 ケンバーの気持ちも分かる。でも......








「その『カレッタ』に伝えろ。入館が叶った暁にはお前の大好きな魔法を私が直々に教える。誰にも負けない存在にしてみせると」


「......ありがとう!!」


「はて、何のことか〜 歳をとってよく分からんが」



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