シーズン2 一章 【孤島編】

第1話 美しき絶景は浜辺で

「暑い......」


「お嬢、暑いっていうと暑くなるんだ。涼しいといえば涼しくなる」


 灼熱の太陽が砂浜に降り注ぐ。波は穏やか。パラソルの中にいるので直射日光は回避できるが、熱気は私達を蝕んだ。


「タウロス、だらしないですよ」


 黒のビキニを着ているヴァルゴがパラソル内で寝転がっているタウロスを叱る。


「毛皮が邪魔......」


「脱げばよろしいのではないでしょうか?」


 フリルを多用した白のワンピースを着ているアリエス。


「アリエス......恐ろしい事言うなよ」


「カプリコーン、もう少し強く扇いで」



 パレオを着ているカプリコーンが近くの森林で見つけた大きな葉っぱを扇ぐ。私とタウロスにかかる微妙な風。


「ご主人様ならともかく、タウロス。貴方も手伝いなさい」


 波打ち際で歩いているのは真っ赤なワンピースのリーナと黒のスリングショットを着ているお付きのコーラン。

 リーナは海の透明度に感激していた。


「綺麗......」


「リーナ様は海、初めてでしたね」


 で、みんなの主である私は向日葵柄がプリントされた水着。うだる暑さに日陰に避難している。




 リアルでは夏真っ盛り。外に出たいが今日は生憎の雨。家で白陽姫ちゃんとイチャイチャしたかったが、何やら用事があるとかで罪悪感いっぱいの表情で謝罪していた。残った私は息を吸うようにゲームにログイン、ゲーム内で夏を満喫しようっと私が提案した。


 海エリアは現状、『ドラゴン』しか知らない。ただ漁業の街なので海水浴はしない方がいい。

 でも、近くに非戦闘エリアがあるかもしれないと考え、散策した結果。今いる浜辺にたどり着いた。

 他に誰もいないので勝手にみんなで楽しんでいる。


「一応、警戒薬を垂らしてあるし、何かあれば対処しよう」


 魔法学園で製作した警戒薬。地面に垂らし、線の内側へ踏み入れた者がいればアラームが鳴る不思議な魔法薬。

 見渡す限り浜辺なのでわざわざ魔法薬を使用する必要はないのではっと思うが、警戒薬の利点は姿を隠蔽するスキルやアイテム所持のプレイヤーやNPCにも効果が発揮される点。


 水着に着替えて、いざ海へっと思考したがランダム気候のせいでリアル不快な灼熱の太陽が出現していた。

 天候は一定時間で変更されるので待つ間はパラソルの日陰で待機している。


 タウロスのお腹を枕に外の風景を見た。


 眩しいわね〜


 特殊イベント(私の強制お願い)でコスプレしているみんなだけど、普段はきちんとした服装をしている。

 さすがに海水浴に来てまで鎧などを装備しては勿体無い。それはみんなもわかっていたらしく私のお願いがなくてもみんな思い思いの水着を着用した。


(普段から目を惹く見た目がさらに際立っている......)


 無言でスクショする私。


 タウロスが何か言うかもと予感はしていたが生憎、タウロスはダウン状態。タウロスの体には燦々と輝く太陽は酷。

 今は無駄な体力を使うべきではないと判断して見過ごしているのかもしれない。


 海で戯れる従者達。抜群のプロポーション、艶かしい服装、妖しい魅力。目を離すと一生の後悔しか生まない光景なので見詰めている。





「お嬢様」


 いつの間にか隣に座っているヴァルゴ。

 音もなく現れるのは心臓に悪い。


「どうしたの?」


 ヴァルゴは岩を指差す。


「あちらに面白いモノがありました」


キラキラした瞳。


「うん? わかった、行くよ」


 手を引かれ、岩陰へ移動する私とヴァルゴだった。

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