第112話 VS 白銀=魔術師で、吹っ切れた女王ちゃん
そういえば......似た話をヴァルゴから聞いたような......あれ? でも、吸血鬼の国での内容って......
目を開け、再び怒りの眼を私に向ける。
「やっと現れた英雄様にあんなお姿にしただけでは飽き足らず、従者としてこき使っているのを見て、わたくしは怒りを抑え込むことができませんわ」
「じゃあ、私に勝って......私に要求する願いって」
「従者関係を解き、わたくしと愛を育む。それがわたくしの計画。不浄な輩から、英雄様を救います!!!!」
真実を話したい。でも、真相を話してもリーナさんは信じない。自分が小さい頃から英雄視していたヴァルゴを汚したくないっと否定するだろう。誰だってそうだ。自分の想いを穢されたら死にたくなる気持ちになる。
なら、私ができることは一つしかない。
「そんなに欲しければ全力で来なさい。応えてあげるわ!!」
口ではいえないのなら、ぶつかって証明する。どちらの想いが上かを。
リーナの顔が初めて笑った気がした。なんだ......そんな顔もできるじゃん!!
あっ!! そっか......簡単だった。お礼は後で言うよ、
右手にはめている手袋に左手が伸びる。
手に持っていた
自分の胴体部分をガードする。
「少しは認めるけど、それでもわたくしには及ばない」
「......ッ!」
ギリギリ、熱火の魔法棒を装備できたので、直撃は避けれた。けど、衝撃で後ろへ。
飛ばされた影響で自分の身体が自由が効かず回り続けてしまう。熱火の魔法棒を地面に刺せば幾分か威力を殺せるかもしれない。でも、熱火の魔法棒は細い棒なので高速で吹っ飛んでいる状態で地面に刺せば折れしまう。
「コーちゃん!!
呼び掛けに参上したのは私の使い魔。魔術本:「ヤミコウモリ伯爵三世の冒険鬼」から召喚されたコウモリ型の使い魔の通常能力は飛行と空中から敵を撹乱させる超音波攻撃。そして、ナンバー入りの魔術本から召喚された使い魔に「
コウモリを模した使い魔は体を崩壊させ、熱火の魔法棒の中へ入る。瞬時に熱火の魔法棒に蝙蝠の羽が生まれる。翼を羽ばたかせ威力を弱め、着地に成功した。
「初めてにしては上手く行った......」
「貴女の力ではわたくしには敵わない」
「......それじゃあ、試してみる?」
私は左胸に装備しているアクセサリー、漆黒のラナンキュロスのブローチを掴む。
吸血鬼族の「真祖」は普段は一般の吸血鬼とそう変わりない。自分の本来の力を封じるアクセサリーを外すことで真祖としての力を解放する。しかし、解放には一つ条件がある。
「テキストにも書いてあったけど......その手順でいいんだ」
真祖を解放するには、誰かを守りたい、力になりたい、自分の存在を認めさせる想いがなければ外れない。
口では言えない感情。物を使っての愛情表現。
「私にも負けれない理由があるから」
これはいわば私の覚悟。ユミナとして、そして
「『
怒轟が鳴り。地面がうねりながら揺れる。
草木一本一本が強風に煽られているように激しく体を揺らす。
十六枚のラナンキュロスが集束し、一枚の花びらへ。黒き花は私を優しく隠す。
私の体が内側から変わっていく感じがする。溢れる禍力は抑えが効かず、狂大な威圧感として放出し続ける。手から足まで体に合うように作り変わる。私の髪は桃色から白銀に。身に纏うは魅力と純潔の力。
四肢を見る。肌がさらに白い。別人みたいだった。
顔、肩にかかる髪も白......銀色も混じっている。綺麗ね......!!
「どうやって......
「小うるさい人に貰ったわ。擬似真祖化と呼べばいいのかしら」
リーナは動揺から出て、歯を食いしばる。
「......どうしたの?」
「......ッ!!」
薄笑い、手招きをする。
「ほら......きなさい?」
⭐︎⭐︎⭐︎
ラナンキュラスの花言葉:とても魅力的、華やかな魅力、純潔
16本→不安な愛
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