第103話 潜めし、姫を誘う智略?
件の姫様を私の所に迎えるために城を出て、城下町にやってきた。
吸血鬼の城下町はヨーロッパの街並みと近代建築が融合していた。
以前までは吸血鬼の国は閉鎖状態だった。種を根絶させないために取った対策だったとアイリスが語っていた。
そのアイリスは女王を娘のマリアさんに託した、隠居セイ活を謳歌している。
で、王位を授与されたマリアさんは吸血鬼の未来を考え、閉鎖を解除。『リリクロス』にいる他種族や『スラカイト』にも赴いた。得た知識を元に吸血鬼の国は繁栄を続けた。
吸血鬼の国には転移魔法があるとかで『スラカイト』へはその転移魔法で移動しているとか......
街へ降りた私たちは散策していた。
「外交が上手くいったから、多種族の方もいるね」
閉鎖状態だったら、周囲への反応が違っていたのだろう。余所者的な視線が主にだけど......
すれ違う人達が私たちに普通に接している。話かけてきたのではなく、国にいる一般人の接し方。
マリアさんに感謝だね。変に浮くことなく、安心して街を散策できる。
「で、問題の姫様はどこかな〜」
街をチラチラ見てもそれらしき人はいない。
姫様なら王族特有のオーラを発しているだろうと周辺を見てみたが、いなかった。まあ、簡単ではないと薄々感じていた。
脱走報告をした女騎士さんは姫様、マリアさんの娘でもあるリーナさんのお付きの女性。
姫様の護衛する立場のためそれなりに腕は立つ。
でも、何故か毎回脱走されてしまう。本来なら姫の脱走を許しては、お付きの女騎士さんは解任されるか死罪となる処罰が下されるだろう。
が、マリアさんも城にいる人達も果ては街にいる住人でさえも同情しているので処置は免除されている。
「街の人達にまで同情されるなんて......女騎士さん、可哀想」
「アリエスは脱走しなかったの?」
キョどる、私の元聖女アイドルさん。
「な、な、な、なんのことでしょう!? アリエス、よくわかんないです」
まあ、アリエスが脱走している疑惑はアシリアさんがソースだけど。
......こんなあからさまな表情をみるに、相当逃げたんだね。アリエス、ポーカーフェイスを鍛えた方がいいよ。バレバレだから。
「で、お嬢。どこ探す?」
「城の精鋭が血眼で探しているのに、素人の私達だとさらに時間がかかってしまう。と、言うことは......」
「罠ですか?」
「正解!! で、みんなにもやってもらうわよ」
全員がハテナマークを出し首を傾けた。
視線誘導という言葉が存在する。
簡単に言えば、目的のモノを人の目に触れさせる事。
ただ、そこに配置するだけでは効果はない。いかに工夫して興味を持たせるかが重要。
さ〜ってここで問題です。目的の人物が私達を見てくれるにはどうするのか。シンキングタイム、スタート。はい、終了!!
答えは......
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