第102話 予知ではない、女のカン。
「わ、わかりました。リーナさんは私が連れて行きます」
目を輝かせ、私の手を握るマリアさん。しまいには涙まで流していた。娘をおくる父親みたいだ......
「娘をよろしくお願いします」
「と、ところで......えーっと。リーナさんは何処に」
「国からは出ません。ですが、逃げ方がプロで。我が国の精鋭でも捕まえるのに時間がかかります」
顔を見らぬリーナさん。盗賊の才能があるのか......
「最長で半月、捕まらない事もありました」
「は、半月......あの〜 どうしてリーナさんは脱走なんかを?」
「ユミナ様は我が国の城下町をご覧になられたことは?」
「城の窓から」
「お母様が統治していた時代から街の雰囲気を変えました。閉鎖された国ではやがて国が滅びると。それで外交をして」
自分の住んでいる国が新らしくなる一方で姫様的には外の世界が煌びやかに見えたんだろうね。でも、自分は国を治める女王の娘。外に無断で行くのは問題がある。それでも憧れは消えない。それが爆発した結果、何度も脱走行為をしていたと......
「母親目線ではいいんですか? 娘が外に出るの?」
「母親の立場では反対です。でも......自分の好きなモノに。前に進む姿を見て決心しました」
前に進む......か。いいわね、それ!!
「みんな!!」
私の呼びかけに参上した従者たち。
驚きを隠しきれないマリア女王。
「お母様からお話は伺っていましたが......我が国の英雄様が」
なんか......マリアさんのヴァルゴを見る目が......潤んでいる??
それに、頬が赤い......例えるなら、恋する乙女......
なんか......モヤッとくる。
私のドス黒い感情を察したのか目を逸らすヴァルゴ。
「みんな、今日から吸血鬼の姫様を私のお城へ迎え入れる事になったわ。いいわね!!」
「遂に、姫様まで餌食に......はぁ〜」
「お嬢の人たらしは際限がないぜ。ハァ〜」
「ご主人様を慕う者が増えたと喜ぶべきか、被害者が増えたと嘆くか......複雑です。ハァ〜〜」
「はぁ〜 また私の一番にムシが......」
「ねぇっ!? なんでみんな、悲しみの顔を出しているのよ!?」
「「「「行動を自重してください!!!」」」」
自重? 不思議なことを言うわね、みなさん。私は至って普通の行動をしていたはずだけど???
解せない、納得がいかない。こうなれば、長時間スリスリ、ハアハアしてやる。泣いて謝っても許してあげないわよ!!!
「ほら、行くわよ。脱走姫様捕獲作戦決行!!」
◇
私達がワイワイしているのを見ているアイリスとマリアさん。
「逃げ方がプロな〜」
「何か? お母様?」
「別に......にしても、良いのか。リーナは......」
「あの子は十分、強いです。ですが、リーナの
「なら、国にずっといるのが安心だと思うがな〜」
「リーナの力を知り、近づく者が増えてきます。ここにいてはいずれ......」
「ユミナはいいのか? 人間だぞ、人は時として残酷な生物だ」
「お母様の友人に悪い人はいません。それに......ユミナ様の従者の顔が心の底から幸せ、です。それだけではダメですか?」
「ふん!! お前らしいな!!」
「ふふう、お母様の娘ですから!!」
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