第58話 牡羊座の不安
「あのさぁ、アリエスのことなんだけど」
私の脳内は三十分前の記憶を呼び起こす。
本当なら
が、さすがはお化け屋敷というべきなのか。一階エントランスにある出入り口のドアノブ。ドアノブに触れた者は威力の高い呪いを受けるトラップが仕掛けられていた。
前に
呪いを打ち消す聖水などを準備していたらそれほど脅威にはならない。だ、
私は
ヴァルゴの持つ黄道(ホロスコープ)スキルで解除されている【カミノケ】は星座で言うところの”かみのけ座”。効果は周りにあるモノを黒髪にしてしまう能力らしい。道に落ちている葉っぱや石ころなど触れると髪の毛に変化され、自由に扱うことができる。
一見すると使い所がないスキルだと思うがヴァルゴの身代わりになることができる点。周りにあるモノを髪の毛に変化させヴァルゴの腕に貼り付けて置けば例え、大ダメージを受けても変化中の髪の毛が代わりになってくれる。更に自由に動かすことができるので集めた毛量によって重たい物や物を拾えるなど動かせる手が増える。
ヴァルゴは【カミノケ】を使って罠がありそうな場所や物、それこそ出入り口のドアノブは全て【カミノケ】で対応していた。アクイローネは呪いを打ち消す魔法やスキルを持っていないためタウロスと行動を共にしていた。
で、問題はアリエス。私とクイーンさんが一階の捜索を終え、一度休憩しようとみんなを待っていた時に、二階から降りてきたアリエスがいた。
階段を降りていたアリエスに幽霊モンスターが迫っていた。階段の板部分からは無数の幽霊の腕が、天井にあるシャンデリアや壁からお化けモンスターがアリエス目掛けて一斉に飛び出していた。
加勢しようとアリエスの元に向かうが床から出現したオレンジ色に染まっているお化けモンスターが立ちはだかり、コイツを倒さないとアリエスのところには行けなかった。
少しずつこの
今、私とクイーンさんの前で暴れているモンスターは大柄の体にハンマーを持つお化け。
その巨体を活かして突進してきたり、野球のヘッドスライディングの要領で倒れ込むようなモーションを入れてくる。
体の方に注意していると持っているハンマーの餌食になる。流石はハンマー。重量級の武器だけのことはあると当たればダメージ量がエグい。
今も振り下ろしたハンマーを後ろへ跳躍し回避。叩きつけたハンマーを持ち上げ、自分も独楽のように回転しながらハンマーをスイングした。このお化けはどこでハンマー投げのスイングを目撃したのかは謎だが、ただ叩き付けられるよりもダメージ量は多い。回転中は近づけないので遠距離での攻撃が有効。
光魔法の【シャイン】
後方から聖なる光を帯びた細い線を大回転中のお化けに放った。当たったのか微妙な判定。
お化けモンスターに決定打を浴びせれるのは現状、【シャイン】しかない。MPにも余裕があるのでマシンガンの如く連発していった。
回転行動を中止したお化けは再び、振り上げのモーションに入る。僅かに開いた間。その隙に距離を詰め、胴体部分に『
「急いで......アリエスの元に??」
アリエスに目を向けると彼女は光となっていた。
アリエスを覆う薄い膜。アリエスに手を出すお化けモンスターは、間にある膜に接触。当たった手から腕へ、最後は体全体に神々しい白い線が体全体を侵食しモンスターは次々、爆散して残ったのは素材だけだった。
素材を回収していたアリエスは悲しい表情を浮かべていた。
「これは......触れられるのに......」
......
............
..................
........................
そして、回想終了。
全員合流した後、クイーンさんのセーブハウスで休憩している。もうすぐしたら再開する予定となっていた。
「ユミナ様が聞きたいこと内容は分かります。しかし、それを私が言ってしまうのはアリエスに申し訳ないです」
「それは分かるんだけど......」
「ユミナ様は私の本当の姿を見てもいつも通りに接してくれました。後は......」
「......そうだね。後は私がしたいことをする。いつも通り、のね!!」
ヴァルゴにピースサインをする。ヴァルゴもまた、嬉しそうに微笑した。
「それで十分です」
一旦、ログアウトした。
白陽姫ちゃんと一緒に食べようとしたが部屋をノックしても返事がなかったので寝ていると思い一人で軽い食事を済ませて再びログインした。
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